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鉄の記念写真
今にもくずれ落ちてきそうな暗い空
また降りだすのかな
野鳥があわただしく騒いでいる
また吹き荒れるのかな
風がつよくつよく吹いて
鳥や雲を遠くに押し流していくのが分かる
窓越しに見ているだけなのに
冷え込む灰色の景色が部屋の中に
そして心の中にまで写り込んでくるように
秋の空だけど
胸には木枯らしの舞う音がある
この眼はいつも孤独を眺めてしまう
激しい雨も
冷たい風も
誰もが目にしてよく知るふつうの景色だ
それらを愛するひとたちも多い
鳥のざわめきも
ちぢれる雲たちも
よく見る自然の営みで
それらにレンズを向けるひとたちもいる
いつか好きになって
求め歩く日がくるの
駅のホームに咲く声たちに笑顔の色浮かぶ
誰かとなりで肩を並べて歩いてくれる日を夢見る
どんなありきたりの出来事でも
夢追いびとたちの瞳の奥では
この世の景色は別世界になると
車内にあった雑誌の中で知ってしまったの
流行りの恋愛小説を片手に電車にのって
終着駅前で撮り鉄たちのレンズにかこまれて
ああ誰かの大切な記念の一枚に
まぎれてわたしの歴史はそこに綴られてきた
気づいてくれなくてもいいの
そのあなたが誰であろうとも
あなたの最高のときめきのメモリアルに
わたしは刻一刻とレールの上の女神へと昇華しゆく
わざわざ読みに来てくれてありがとうございます。




