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Coincidence←→Destined  作者: Hoeplow
第五話
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05

 彼は二人に気づくと立ち止まった。開いた扉の向こうに見える光景に彼は息が止まる。何故、こんなことになっているのか。彼女から謎のメッセージが送られてきて、それを萩に相談しにいった。そこに彼女が現れ、彼女は走り去って、何故か萩に怒られ彼女を追いかけることになって。探した先で見つけた彼女はまた怪しい人物と話をしていて。訳が分からないことにすぐ巻き込まれる彼女にはいつも知らない人と話すなと強く言い聞かせているが、目を離すとすぐこうなるのだ。それから彼女は怪しい人物を追いかけてまた走り出して、校舎中を探しても中々見つからなかった。十七時からは部活を終えた萩も探すと言って二人で手分けして探しても見つからず、途方に暮れた彼は最後の手段として保健室に来たのだ。機関に頼るのは癪だが向日 葵という少女があざみと同じ『力』を持っているというならば探せるだろうと思ってのことだった。それが何故、こんなことになっているのか。

「紫苑クン」

「萩……」

 紫苑は後ろから話しかけてきた萩に静かにするようにジェスチャーする。萩も不思議に思いつつも紫苑がわざわざ言うのだから理由があるのだろうと口を閉じた。それから彼女は紫苑の指差す方向に視線を移す。保健室の入口近く、扉の陰で見え辛いがあざみが深見に抱き締められていた。あの他人に触れられることが大の苦手のあざみがだ。

「えぇ~~……どういうことぉ~~……?」

 小声で疑問を露にする萩に紫苑は首を振った。その顔は萩が紫苑と知り合ってから一度も見たことが無いほど険しいものになっている。敵対していたはずの男にあざみが抱き締められているのだ、当然だろう。

 あざみに好きな人がいるとすれば紫苑以外あり得ないだろうし、と考えていた先刻までの自分を叱りたい。それはこれまでの殻に閉じ籠っていた彼女の話であって、最近の彼女は少しずつ外に興味を持ち始めていたのだ。そこに現れたとてつもなく顔の良い年上の男。そのうえ確信を持っていないとしても、彼女の事情も理解している。そういえば先週ぐらいから深見の話になった時、あざみの態度が柔らかくなっていたなと萩はふと思い出した。それまでは名前を聞くだけでも顔を顰めていたのに、先週のある時から興味深そうに、ともすれば少し笑いながら話をするようになっていたのだ。その時点で萩の知らない何かが起こっていたのかもしれない。それぐらいの時期に開かずの扉の噂を教えてくれて助かったと改めてお礼も言われた。まさかと思うが、深見と二人で開かずの扉の部屋に入ったのではないか。あれは元は仲が悪い二人を仲良くする為のおまじないで。

「あわわ……や、ヤバいよ紫苑クン、止めなきゃ……!」

 保健室に乗り込もうとした萩の腕を掴み、紫苑は止める。感情を押し殺したような顔は何を考えているのか分からない。それでも彼は黙って首を振っていた。

「お? 誰や、生徒はもう帰る時間やぞ~~」

 突然廊下の先から聞こえてきた教師の声に紫苑と萩は慌てて走り出す。乗り込もうとした萩を紫苑が止めたということは、彼は今ここにいたことをあざみに知られたくないのだろう。そのうえ聞こえてきた声は間違いなくあざみたちの担任の声だった。顔が見られればきっと彼は紫苑の名前を呼ぶし、そうすればあざみにバレてしまう。だからこそ紫苑と萩は走り出したのだ。

 そんな二人の後ろ姿をあざみは保健室から見つめていたことに、既に走り出していた萩が気づけるわけがなかった。

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