後見人選びと、貴族たちの誤解
翌朝、王宮の大広間に国を代表する「4大貴族(侯爵家)」の当主たちが緊急招集されていた。
その筆頭が、騎士団長ギルバート(28)と副団長ジェイド(25)の父親であるヴァルハイト侯爵だ。
国王ヴェルナーは、集まった侯爵たちを見渡して告げた。
「離宮の改修が終わるまでの一ヶ月間、異世界より降臨された4人の乙女たちを、其方たち4大貴族で一人ずつ『後見人』として預かってほしい。言葉やマナー、この国の歴史を教えてやってくれ」
だが、その言葉を聞いた侯爵たちの表情は一様に曇った。
「……陛下、大変恐縮ながら、異世界の『女性』のお世話となると……」
ヴァルハイト侯爵が苦渋の決断のように口を開く。
「我が国の女性は、希少ゆえに幼い頃から過剰に甘やかされて育ちます。何か気に食わぬことがあれば激昂し、高価な宝飾品をねだり、男を奴隷のように扱うのが常……。異世界から来られた女性ともなれば、さらに輪をかけて『我がまま』なのではございませんか?」
他の侯爵たちも困り顔で頷く。
「左様です。我がままな女性の後見人になれば、屋敷の者たちが振り回され、破滅しかねません……」
女性が少なすぎるこの世界では、男性たちは女性の無理難題にずっと泣かされてきたのだ。「女性を預かる=凄まじいわがままに耐える苦行」と誰もが恐れていた。
その時、大広間の扉が開き、着替えを済ませた百合、美咲、葵、凛の4人が入ってきた。
「失礼いたします」
百合たちは案内されると、深々と丁寧なお辞儀をした。
「昨日のお詫びと、温かいお部屋をご用意いただいたお礼を申し上げたくて来ました。私たちはこの国のことを何も知りません。一ヶ月間、ご迷惑をおかけしますが、精一杯勉強しますのでよろしくお願いします!」
凛とした声で、感謝と謙虚な態度を示す百合たち。
その礼儀正しさと誇り高い姿に、難色を示していた侯爵たちは「……は?」と呆気にとられて固まった。
「わ、わがままどころか……なんという慎み深さ……!?」
「こんなに美しく、礼儀正しい女性が存在するのか……!?」
異世界の女性像しか知らなかった貴族たちは、教本の女神そのものの姿で健気に頭を下げる少女たちに、一瞬で大衝撃を受けるのだった




