突然の夜会決定と次なるステップ
離宮の広間には、驚きの声が響き渡っていた。
「——というわけで、ちょうど1か月後に王家主催の夜会を開催することにした」
優雅に紅茶を嗜みながら、第2王子レオンハルトはあっさりと告げた。その美しい金髪を揺らし、どこか楽し気に4人を見渡す。
「その夜会で、集まった貴族たちに君たち4人を正式にお披露目しようと思う。異世界から来た特別な客人としての交流が目的だ。もちろん、夜会だからダンスもあるぞ」
「「「「ダンス……!?!?」」」」
4人の声が見事にハモった。
男尊女卑ならぬ女尊男卑のこの国に転移して以来、マナーや最低限の歴史などは勉強してきた。しかし、本格的な貴族のダンスなど一度も踊ったことがない。
「だ、ダンスなんて無理です! 踊ったことなんて一度もありませんし……!」
百合が思わず前に出て焦りを見せると、レオンハルトはフッと微笑んだ。
「心配いらない。なら優秀なダンスの教師を紹介しよう。まだ1か月もあるんだ、君たちならすぐに覚えられる」
「1か月って、そんなに早く覚えられるかしら……」
不安そうに顔を見合わせる百合、美咲、葵、凛の4人。一からダンスのステップを叩き込むとなると、決して余裕のある期間ではない。
そんな中、服飾デザイナーを目指す葵が真剣な表情で手を挙げた。
「あの……レオンハルト様。ドレスはどうなるのでしょうか? この国の既成のドレスは、私たちのサイズに全然合わなくて……」
葵の指摘に、他の3人もハッとする。
この国の女性用ドレスは、一般的な貴族の体型に合わせて作られており、彼女たちには丈も身幅も合わないのだ。
「自分で作る……と言いたいところですけれど、明日からダンスの練習が始まるとなると、時間的に4人分を一から縫い上げるのは厳しいです……」
悔しそうに眉をひそめる葵に対し、レオンハルトは頼もしく頷いた。
「それなら心配ない。クラリス侯爵家に仕立てを頼むとしよう。葵殿、君の提案や意見を交えながら作らせればいい」
葵のお相手であるレオンやルークの家であり、裁縫や生地の扱いに長けたクラリス侯爵家なら間違いはない。
「今日これから4人でクラリス侯爵家へ向かい、採寸と希望のデザインを伝えてくるといい。そしてダンスのレッスンは明日からスタートだ。忙しくなるが、期待しているよ」
レオンハルトの申し出に感謝しつつも、4人は目まぐるしい展開に緊張感を募らせる。
「よし……! 不安だけど、やるしかないわね!」
「うん。ドレスのデザインは私に任せて!」
覚悟を決めた4人は、さっそくドレスの採寸と打ち合わせのため、クラリス侯爵家へと向かう準備を始めるのだった。




