麗しの王子と、心強い後ろ盾
離宮の片付けも一段落し、穏やかな午後の紅茶時間を楽しんでいた4人のもとへ、一頭の美しい馬車が到着した。
従者に案内されて離宮のエントランスに姿を現したのは、眩い金髪に澄んだ青い瞳を持つ、第二王子のレオンハルトだった。召喚されたあの日以来の再会である。
「すまない、急な訪問になってしまって。離宮での生活は落ち着いただろうか?」
極上の微笑みを浮かべ、洗練されたマナーで挨拶するレオンハルト。
そのあまりの見目麗しさとノーブルな雰囲気に、4人は思わず息をのんだ。
(うわぁ……! 相変わらず漫画から飛び出してきたみたいな王子様……!)
(金髪イケメンすぎる……ちょっと胸キュンしちゃうじゃない!)
久しぶりの再会に4人が一瞬ときめきで胸を躍らせる中、レオンハルトの視線は一直線に百合へと注がれていた。
「百合殿、急に環境が変わって体調を崩してはいないか? 何か困っていることがあれば、何でも言ってほしいのだが……」
熱を帯びた眼差しと甘い声で気遣われ、百合はパッと頬を赤く染める。
「あ、はい……! おかげさまで、みんなで楽しく過ごせています、レオンハルト様」
そんな甘い雰囲気を素早く察知しつつも、抜け目のない美咲がすかさずスッと一歩前に出た。
「レオンハルト殿下、お気遣いありがとうございます。実は……困っているというより、これから私たちが進めていきたい『仕事』のことで、ご相談したいことがございまして」
「仕事……?」
レオンハルトが興味深そうに首を傾げると、美咲は凛とした表情で続けた。
「はい。私たちはただ保護されるだけでなく、この国でそれぞれの専門知識を生かした事業を起こしたいと考えております。百合はヘルシーなカフェ、私は美容サロン、葵は服飾工房、凛は具体的にまだ決まっていませんが……ただ、何をするにしても現実問題として『資金』と『手続き』が必要ですわ」
美咲の言葉に、葵と凛も深く深く頷く。
「事業の立ち上げ費用や今後の相談など、私たちは一体どなたを頼ればよろしいのでしょうか?」
美咲の的確な問いかけに、レオンハルトは一瞬驚いたように目を丸くしたが、すぐに嬉しそうな笑みを浮かべた。
「素晴らしい……! ただ守られるだけでなく、自らこの国で立ち上がろうという志、実に見事だ。……それならば、心配はいらない」
レオンハルトは百合を優しく見つめ直してから、4人に向かって堂々と宣言した。
「その事業の相談窓口は、すべてこの私が引き受けよう。そして必要な開設費用や準備金も、すべて王家が全面的に負担する。君たちは何の遠慮もいらない。自分たちのやりたいことに全力で励んでくれ」
「「「「えっ……全額王家負担!?!?」」」」
太っ腹すぎる王子の言葉に、4人は思わず目を丸くして顔を見合わせるのだった——。




