解ける孤独と、本当の美しさ
離宮の修復状況を見学したあと、4人はサロンに置かれたソファに腰を下ろし、温かいお茶で一息つくことになった。
護衛の男性陣が気を利かせて少し離れた場所で見守る中、久々の再会を喜ぶ賑やかな空気。しかし、百合、美咲、葵の3人は、ある違和感を抱いていた。
(……凛ちゃん、いつもなら一番に声をあげてはしゃぐのに……)
会話の端々で見せる凛の笑顔が、どこかぎこちなく、どこか元気がなさそうに見えたのだ。
「凛ちゃん」
百合が優しく声をかけ、凛の小さな手をそっと包み込んだ。
「何かあったの? さっきから少し元気がなさそうに見えるんだけど……」
「そうよ、凛ちゃん。私たち仲間なんだから、何でも話して?」
美咲と葵も心配そうに顔を覗き込む。温かい3人の眼差しに、凛の胸の奥に溜まっていた思いが溢れ出した。
「……うん。あのね……この前、街に行ったときのことなんだけど……」
凛はぽつりぽつりと、街で出くわした令嬢マリアンヌから受けた言葉を打ち明けた。
この国には自分のようなショートカットで小麦色の日焼けをした女の子が一人もいないこと。「男のようで汚い」「子供みたい」と蔑まれたこと——。
「この国の女の子って、みんな色白で髪が長くて、おしとやかじゃない?……私、この国だとやっぱり変なのかなって。男の子みたいで見苦しいのかなって、ちょっとショックだったの……」
うつむいて小さくなる凛の告白を聞き終えた3人は、一瞬驚いたように目を見開いた後、示し合わせたように優しく微笑んだ。
「まあ、そんなこと気にしていたの? 凛ちゃん」
美咲がトントンと凛の肩を叩き、葵が身を乗り出して凛の顔をまじまじと見つめる。
「確かに、ショートカットだし健康的な小麦色の肌だから、一瞬ボーイッシュに見えるかもしれないわ。でもね、凛ちゃん」
美咲が凛の頬を両手で優しく包み込み、顔を上げさせた。
「自分の顔、鏡でちゃんと見たことある? 凛ちゃんは紛れもなく『超がつく美少女』なのよ」
「え……? 私が……?」
ポカンとする凛に、葵が指を折りながら力強く頷いた。
「そうだよ! ぱっちりとした大きな二重まぶただし、すっと綺麗に整った鼻筋、大きすぎず小さすぎない上品な口元……それに見てよ、この長くて綺麗なまつ毛!」
「本当にそうね」と、百合も深く頷く。
百合は優しく頷きながら、凛の目をじっと見つめて続けた。
「でも、そんなに周りの目が気になるなら、少し髪を伸ばしてみたら? 日焼けだって、外でのハードな運動を少し控えて、屋内のトレーニングに変えれば自然と落ち着いてくるわ」
「そうよ!」と美咲が頼もしく胸を張る。
「美白ケアなら私に任せて! ヘアメイクのプロとして、凛ちゃんの肌を透明感あふれる極上の美しいお肌に変身させてあげる。凛ちゃんはまだ16歳なんだから、これからもっと体型だって大人の女性らしく成長するんだからね」
さらに葵が嬉しそうに目を輝かせた。
「洋服なら私に任せて! 凛ちゃんの良さを一番引き立てる、最高に可愛くて綺麗なドレスをたくさん作ってあげるから!」
「そして、健康的な美しさを保つための体作りや食事は、私に任せて」
百合が微笑むと、3人は顔を見合わせて力強く頷き合った。
「そうね! 私たち3人で、凛ちゃんを誰からも文句を言わせない最高に美しい女性にプロデュースしてあげるわ!」
「みんな……! うん、私、頑張ってみたい!」
大好きな3人からの心強い提案に、凛の瞳は不安を吹き飛ばすほどのワクワクした輝きを取り戻した。




