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私が目を覚ますと、太ももの辺りがずっしりと重く、痺れていることに気が付きました。
上半身を起こしてみれば、なんと彼が眠っていたのです。
「独裁に利用して、嫌な役回りは全てあなたに押し付けてしまっておりますものね。お気付きになっておられないのですか? それとも、お気付きの上で、私を追放できない理由でもお持ちなのですか? あぁ、どちらにしても、愚かな人ですね」
慈しみが込み上げてきて、健やかに眠る彼の髪に触れていました。
そうして、お互いに人形となって思考を捨てて堕ちていく、乱れた関係性の私たちを嗤うのです。
彼を見ていると、いつだって私の間違いを思い知らされるのでした。
私が語り掛けている途中で、彼が目覚めたようでした。
しかしそれでも構わず私は続けます。
起きていることを知らないふりをして、起きたことを知らせない彼を、反対に騙してやろうとしたのです。この機会だから、全部を聞かせてしまうつもりでした。
私が知られたくないことは隠して、都合のいいことばかりを言い聞かせるのです。
一向に彼は私を止めようとはせず、静かに耳を傾けてくれていました。
止められるまで話すつもりでいたのですが、このままだと、知られたくないことまで引き出されてしまいそうでした。
ですからやむなく私から終わらせました。
「もう話は終わりましたから、空寝を止めてもいいですよ」
「やっぱり、気付いてたのか」
私が声を掛ければ、すぐに彼は起き上がりました。
軽くなった足は、急激に寒さを感じます。布団はしっかり被っておりますのに、なんだか寒くて仕方がないように感じられるのです。
あの重みが、彼への想いや私の決意、生への執着などの重みであるように、なぜだか私には思えました。
足を腐らせもう立ち上がる希望を持たせないほどの鎖だったとしても、きつく私を押さえ付けてほしいと思いました。
この足が自由になったら、私は飛び立ってしまいそうだったのです。
何者かが力ずくで私を舞台から引きずり降ろそうとしたときに、決して切れない鎖が私を縛り付けて、私の力よりずっと強い力で私を引き留めてほしいのです。
そうしたらば、足が裂けるまで私はここにいられますから。
潔く散りたいだなんてよく言っていたものですね、ここまで来ると笑えます。
彼の温もりと重みが感じられないだけで、彼は隣にいてくれているというのに、こんなに不安になっている私です。
「散ってもまた咲ける桜が、私は羨ましいです」
以前に言ったことがあるようながら、初めて聞くような気持ちでした。
「輪廻転生を自ら望むのか?」
「そうでなければ、世を捨てずにここまであるはずがありません。どれほど苦悶することになろうとも、あなたの隣にいられるのなら、私は何度でも繰り返す所存です」
「最初はあんだけ嫌がってたくせにな」
恥ずかしながらも言いきった私をからかうようでした。
そんななんでもないやり取りが、私は大好きでした。
死にたくない、死にたくない、幸せなほど、想いは溢れてきます。
だれが何をしようとも、何をどう願おうとも、私が救われることはないのですね。病というのは、残酷なことです。
神仏が直してくださらないのは、私の行いが悪いせい、つまり自業自得だというわけなのでしょうか。
ねえ、答えなさいよ。
信じる者は救われるという考えは、信じる者しか救わないという慈悲の欠片もないお言葉だと私は思います。
私がお前を崇めないから、私を殺すのだというのですか?
大して信じてはおりませんが、全く信じていないというわけではないのだと、そう言っているではありませんか。
救いなど得られないのでしょうから、神やら仏やらに語り掛けたところでなんの意味もないとは思っております。ですが最終手段ですよ。
薬師がもうこれまでだと言っているのです。
あとはもう、祈るくらいじゃないですか。
こういった思考の廻りは、何度もやってきたものですが、今日ほど憎たらしく思えたことはありません。
時間のなさのため、焦っているのかもしれませんでした。




