第91回「紅貝の魔王」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
レインたちは、紫色の煙が立ち上る場所へ走っていた。やがてその姿が見えてきた。
「今回は魔王18号!」
レインが叫ぶ。
三人の前方に魔王が立っていた。
その大きさは、およそ1.5メートル。 人間とほとんど変わらない。
「グオオオオオッ!」
魔王18号が雄叫びを上げる。
しかし――。
魔王18号は、レインたちには目もくれなかった。
そのまま、田んぼへ向かっていく。
「ちょっと待って」
レインが足を止める。
魔王18号は田んぼの中へ入り、何かを撒き始めた。レインはその様子を見ている。
「……あいつ、何してるの?」
「田んぼに何か撒いてるわね」
アイリスも目を凝らす。
魔王が撒いているのは――。
赤い、小さな生物だった。
魔王18号は、次々と赤い生物を田んぼへ放っていく。やがて一枚目の田んぼを終えると、次の田んぼへ移動した。
そして――。
そこでも同じように、赤い生物を撒き始める。
「また撒いた!」
レインが驚く。
「次の田んぼにも……」
アイリスが呟く。
魔王18号は、いくつもの田んぼへ赤い生物を撒いていく。
そして、しばらくすると――。
今度は、先ほど赤い生物を撒いた田んぼへ戻ってきた。
「戻ってきた?」
レインが目を細める。
その時――。
二人は、魔王18号の背中にあるものに気づいた。
「……何あれ!?」
アイリスが声を上げる。
魔王の背中には――。
巨大な貝殻が付いていた。
巻き貝のような形をした、大きな殻。
「背中に貝殻!?」
レインも驚く。
魔王18号は、そんな二人のことなど気にしていない。ゆっくりと、田んぼにいる赤い生物へ手を伸ばす。そして――。
赤い生物から、何かが吸い上げられていく。
ミルミルミル……。
赤い生物の身体から、エネルギーのようなものが魔王18号へ流れ込んでいく。
「グギャー!」
魔王18号が雄叫びを上げた。
ミルミルミル……。
魔王の身体が――。
みるみる赤く染まっていく。
レインはぽつりと呟く。
「赤くなってる……」
ナイトが女神のカメラを向ける。
「赤い生物……あれは?」
その時だった――。
「すまない!」
後方から声が響いた。
「あれっ? コシヒコさん!」
レインが振り返る。
コシヒコが走ってきた。
息を切らしながら、田んぼへ目を向ける。
「田んぼの様子が心配で、来てしまった!」
コシヒコは、田んぼの中にいる赤い生物を見つめた。そして、その表情が変わる――。
「あれは……クリムゾンシェル!」
「なんて?」
レインが聞き返す。
アイリスも首を傾げた。
「赤巻き貝?」
コシヒコは頷いた。
「タニシが魔物化したものだ……」
コシヒコは田んぼを見つめる。
「稲を食べて、田んぼを荒らす魔物だ」
「なるほど……」
レインは、もう一度魔王18号を見る。
魔王は今も、クリムゾンシェルからエネルギーを吸収していた。その身体は、さらに赤く染まっていく。
アイリスが呟く。
「魔王は、クリムゾンシェルを田んぼにばら撒いて……クリムゾンシェルにエネルギーを蓄えさせる……」
アイリスが続ける。
「さらに、クリムゾンシェルからエネルギーを吸収して、力にしている……」
「なんてまわりくどいっ!」
レインが目を見開く。
ナイトもカメラを構えながら呟いた。
「つまり……田んぼそのものを、魔王の力を増やす場所にしているわけか」
レインは魔王18号を指差した。
「あいつはっ!」
その声が、田んぼに響く。
「あいつはっ! 紅貝の魔王!」
レインが叫んだ。
「グオオオオオッ!」
魔王18号が咆哮する。
赤く染まった身体。
背中に背負った巨大な貝殻。
そして――。
田んぼに放たれた、大量のクリムゾンシェル。
コメライス村の田んぼに――。
魔王の咆哮が、響き渡った。
読んでくれてありがとうございます!
この作品は不定期で投稿してます。
※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




