第87回「予報円」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
コメライス村の朝――。
村長の家に泊まったレインたちは、朝食を済ませていた。
そして――。
いつもの配信の時間がやってくる。
ナイトが女神のカメラを構えた。
「皆さん、おはようございます!」
レインが、いつもの笑顔で挨拶する。
「今日も一日、よろしくお願いします」
アイリスも続けた。
いつものように、天気の情報を伝えていく。
そして――。
「続いて、魔王予報のお時間です」
その一言で、空気が少し変わった。
「トンチキ村の魔王降臨確率、40%でしたが?」
アイリスが確認する。
レインは、少し真剣な表情になった。
「魔王の降臨場所が、移動しています!」
「なんとっ!」
アイリスが驚く。
「こちらをご覧ください」
レインが魔法通信端末を操作する。
画面に地図が表示された。
そこには、ある地域を大きく囲む円が描かれている。
「こちら、今後の移動を予想した図です」
レインが地図を指差す。
「数日後、この予報円の中で降臨するかと思います」
「確率はどうなっていますか?」
レインが頷く。
「降臨確率は少し上がって、60%です」
コメント欄がざわつき始める。
さらに、レインが続けた。
「また、通常魔王と思われましたが……驚異魔王の可能性も出てきました」
「発達している、ということですね」
アイリスが確認する。
「そういうことです」
レインは地図を見つめる。
予報円はかなり広い。
その中には、複数の村や町が含まれていた。
「予報円に入っている地域は、十分に注意してください」
レインの声が、少しだけ低くなる。
「そして……特に、トンチキ村と、その隣のコメライス村は注意が必要です」
レインは、少し間を置いて続けた。
「今、私たちはコメライス村にいますから……」
アイリスが静かに尋ねる。
「対処したいですね?」
レインは、静かに頷いた。
「最善は尽くします」
ナイトは何も言わず、カメラを回し続けていた。
コメント欄にも、次々とコメントが流れていく。
『60%になったのか……』
『驚異魔王の可能性?』
『コメライス村、大丈夫か?』
『レインさんたち、そこにいるんだよな』
レインはふと、窓の外へ目を向ける。
朝の光に包まれた、コメライス村。
田んぼには、昨日植えたばかりの小さな苗が並んでいる。村の中では、人々が朝の仕事へ向かっていた。いつもと変わらない、穏やかな朝だった。
その穏やかな日常へ――。
魔王の影が、少しずつ近づいていた。
読んでくれてありがとうございます!
この作品は不定期で投稿してます。
※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




