第84回「マカモが泳ぐ水田」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
田植えを終えた田んぼ――。
水面には、植えられた苗がきれいに並んでいる。
レインとアイリスは、その田んぼの前に立っていた。二人とも少し疲れた様子ではあったが、カメラに向かって笑顔を見せる。
「皆さん、終わりましたよっ!」
レインが両手を広げる。
「大変でしたぁ!」
アイリスも、ふぅっと息を吐いた。
配信のコメント欄には、視聴者からのコメントが次々と流れていく。
『お疲れさまでした!』
『米作りって大変だな』
『これから米、大事に食うわ』
「ありがとうございます!」
レインが嬉しそうに頭を下げる。
そして、隣にいるコシヒコへ視線を向けた。
「コシヒコさんみたいな才能があると、この村も安泰ですねっ!」
「技術継承の話もしてよ!」
アイリスがすかさず突っ込む。
すると、コメント欄がさらに盛り上がった。
『米作りの勇者コシヒコ!』
『米作り無双!』
『コシヒコさん強い!』
「そんな大したものじゃないですよ」
コシヒコは苦笑する。
そんな穏やかな空気が流れていた――その時だった。
バシャバシャ。
田んぼの中から、水音が聞こえてきた。
「おや?」
レインが田んぼへ目を向ける。
すると――。
小さな鴨たちが数羽、水田へ入ってきた。
水面を気持ちよさそうに泳いでいる。
「カワイイ鴨たちが入って来ました!」
レインが嬉しそうに指差す。
「ええ。可愛いですね」
アイリスも笑顔になる。
コシヒコは、その鴨たちを見て頷いた。
「ああ、これはマカモだね」
「マガモではなく、マカモ?」
アイリスが首を傾げる。
コシヒコは、水田を泳ぐマカモたちを眺めた。
「とても優しい魔物だよ」
「魔物なんですか?」
レインが驚く。
「そうだね」
コシヒコは頷いた。
「田んぼのムシを食べてくれるからなぁ」
マカモたちは、何事もなかったかのように水田を泳いでいく。
時々、水面をくちばしでつついている。
レインは感心したように眺めた。
「へぇー、お利口さんだなぁ」
「農家にとっては、ありがたい魔物ですね」
アイリスも頷く。
その時――。
一羽のマカモが、顔を上げた。
「クワッ」
「お返事した!」
レインが目を輝かせる。
「可愛いですね」
アイリスも笑った。
ナイトは黙って女神のカメラをマカモへ向ける。
小さな鴨たちが、水田を泳いでいく。
その姿を、カメラがしっかりと追っていた。
そして――。
コメント欄も一気に盛り上がる。
『マカモ可愛い!』
『田んぼの守護神じゃん!』
『俺より役に立つマカモ』
『マカモ飼いたい!』
「人気者ですねぇ!」
レインが笑う。
マカモたちは、そんな人間たちの様子など気にすることもなく、田んぼをスイスイと泳いでいく。
田植えを終えた水田には、若い苗。
その間を泳ぐ、数羽のマカモたち。
コメライス村の穏やかな一日がゆっくりと過ぎていく。
読んでくれてありがとうございます!
この作品は不定期で投稿してます。
※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




