第83回「米作りの才」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
コメライス村の田んぼ――。
レインとアイリスは、田んぼ一面の田植えを、なんとか手作業で終えた……。
「……あぁー……腰がぁー!」
レインが田んぼの横に倒れ込む。
「爆発したわぁー!」
アイリスも力尽きたように、その場へひっくり返った。
二人とも、完全に動けない。
ナイトはそんな二人を見ながら、静かに声をかける。
「うん。お疲れ」
「米作りって大変だなぁ……」
レインが空を見上げる。
「まだ始まったばかりよ」
アイリスの言葉に、レインは遠い目をした。
「そうだった……」
その様子を見て、コシオが笑う。
「ハッハッハ、まだまだ手作業が主流ですけどね」
そこへ、コシヒコがやって来た。
「皆さん、お疲れさまです」
「はいー……お疲れましたぁー……」
レインは地面に寝転んだまま答える。
「もう動けないわ……」
アイリスも同じだった。
すると、コシヒコが何気なく言う。
「隣の田んぼは、まだ空いてますよ」
「今日はもうムリっ!」
「筋肉痛で、明日もムリかもっ!」
二人がほぼ同時に叫ぶ。
コシヒコは楽しそうに笑った。
「ハハハ」
そして、コシヒコはさも当然のように言う。
「俺は、米作りの才があって」
「米作りの才?」
レインが顔を上げる。
コシヒコは田んぼへ目を向けると、苗を手に取った。そして――魔力を込める。
「こういうことです」
苗が、ふわりと宙へ浮かんだ。
「え?」
レインが目を丸くする。
ヒュンッ!
苗が次々と空中を飛んでいく。
そして――。
ズブッ!
ズブッ!
ズブッ!
ズブッ!
苗は新しい田んぼへ次々と植えられていった。
しかも――。
その列は、驚くほどまっすぐだった。
レインが飛び起きる。
「えぇー! ずるーい!」
アイリスも田んぼを見る。
「私たちの半日の作業が、数分!」
コシヒコは少し照れながら笑った。
「まあ、これが俺の才ですね」
レインは、きれいに苗が並んだ田んぼを見つめる。
「すごい……」
そして、すぐに笑顔になる。
「あとは全部、コシヒコさんにやってもらおう!」
「それが一番ね!」
アイリスも即答する。
「ハッハッハ」
コシオは楽しそうに笑った。
しかし――。
少しすると、穏やかな表情で二人を見る。
「技術を伝えていくのも、米作りなんです」
「技術を伝える?」
レインが首を傾げる。
コシオは田んぼを見つめた。
「ええ、才に頼り切るのはダメなんですね」
コシヒコも頷く。
「俺がいなくなったら、終わるからな」
コシオが続ける。
「米作りは、一人で続けるものじゃありません。皆で技術を覚えて、次の世代へ伝えていく」
田んぼに並ぶ苗――。
その一本一本が、これから育っていく。
コシヒコ一人の力だけではなく――。
村の人々が力を合わせることで、この田んぼは毎年続いていくのだ。
レインは、しばらく田んぼを見つめていた。
そして――。
「仰るとおりですっ!」
レインは立ち上がった。
「もう少しだけ、田植え頑張る……?」
アイリスがレインを見る。
「何故に疑問形なの?」
「まぁ、無理のない範囲でな」
コシヒコは苦笑した。
こうして――。
コメライス村の米作りの技術は、人から人へ……次の世代へ……。
受け継がれていくのだった。
読んでくれてありがとうございます!
この作品は不定期で投稿してます。
※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




