【改稿】第8回「無事を報告する」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
ゴロゴロ山、山頂――。
女神さまから神がかった力を授かったレインたち。
しかし……。
女神さまの姿は、すでにそこにはない。
ヤルことはヤったという感じで、そそくさと帰っていったのだ。
今はただ、静かな風だけが山頂を吹き抜けている。
「ねぇ……、女神のカメラは使えるの?」
アイリスは、ナイトの肩に担がれた女神のカメラに視線を移す。
「あぁ、多分大丈夫だ……」
どうやら今まで使っていた魔導カメラの上位互換のようで、操作自体に問題はなさそうだ。
「だったら、視聴者に無事だって報告が必要だわ」
アイリスは、安否を伝えるための配信を提案する。
「そうだねっ! みんな心配してるかもっ!」
レインもまた当然といった表情で、賛成の声をあげた。
「確かに……まずは無事の報告だな」
ナイトが魔力を流すと、女神のカメラが反応する。
魔法通信――。
接続開始――。
「問題ない! 配信できる」
「よかったぁ」
レインがほっと胸を撫で下ろす。
しかし、アイリスは真剣な面持ちでふたりを見つめた。
「ねぇ……女神さまのことは隠す?」
突然の女神さまの降臨、そして今後は魔王の降臨――。
あまりにも情報が重すぎる。
しばらく考えて、ナイトが静かに答えた。
「今、話しても混乱するだけだろう」
「うん、雷に当たったぐらいで良いわね?」
「雷に当たったぐらい……」
レインは少し複雑そうな表情を浮かべる。
「実際に起ったことだし、嘘じゃないわ……」
事実ではあるものの、大事件であることに変わりはない。
アイリスもまた、苦笑いを浮かべた。
ナイトはしっかりとした手つきでカメラを構え直す。
「まず伝えるべきは……無事だってことだ」
「うん! とりあえず、みんなの前で笑ってればいいよねっ!」
レインはナイトに向かってブイサインで答えた。
◇
ホミラタウンの中央広場――。
そこに設置された魔法通信の大画面は、先ほどまでレインたちの配信を映し出していた。
しかし、今は画面は暗いまま静まり返っている。
広場に集まった人々は、不安そうに画面を見つめていた。
レインたちは無事なのか――。
誰もが、吉報を待ち望んでいる。
そして――。
期待に応えるように、魔法通信が再び繋がった。
大画面に映し出されたのは、レインとアイリスの元気な姿――。
二人の姿が目に入った瞬間、広場からざわめきが起こる。
「レインちゃんだ!」
「無事だったのか!」
「バカヤロー、心配させやがって!」
安堵の声が広がる中……。
画面の奥から、ナイトの落ち着いた声が響いた。
「配信、再開します」
三人の無事を確認した、その瞬間――。
コメント欄は堰を切ったように流れ始める。
『レインさん!』
『無事だったんだ!』
『マジで生きた心地がしなかった』
『アイリスさんもよかった!』
『よかったあああああああああああ』
レインはカメラに向かって、弾けるような笑顔を見せる。
「皆さん! ご心配をおかけしました!」
そして、元気よくぺこりと頭を下げた。
「あたしたちは無事ですっ!」
コメント欄には、さらに安堵と歓喜の言葉が溢れていく。
『本当に良かった!』
『あの雷、何だったの!?』
『突然の画面暗転はマジで心臓止まる!!』
『何があったのか説明求む』
鋭く刺さる質問に、レインは一瞬だけ言葉を詰まらせるが、すぐに笑顔を作り直して答えた。
「えっと……すごい雷でした!」
そして、少しバツが悪そうな顔で申し訳なさそうに続けた。
「これからは、ちゃんと安全に配慮してお天気情報を届けます!」
「心配させてごめんなさいね」
隣でアイリスも優しく頷く。
こうして視聴者たちは、三人の無事を確認したのだった。
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