第81回「田植え体験」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
コメライス村の田んぼ――。
「こちらです!」
コシオが指差す。
三人の目の前に、広々とした田んぼが広がっていた。田んぼには水が張られ、水面の下では土がきれいに均されている。
レインは田んぼを眺めた。
「まだ、何も植わってないですね」
「そうですね」
コシオが頷く。
「今は、地面を均して水を張ったところです。代かきまで終わっているので、あとは田植えをするだけですよ」
アイリスは興味深そうに田んぼを眺める。そして、ふと思いついたように言った。
「私たちが、ここで田植えをする未来……見えますね!」
「田植えの体験配信だねっ!」
レインは、早くもやる気満々だ。
コシオも笑顔で頷く。
「もちろん、体験していただいて構いませんよ」
「やったー!」
レインが両手を上げて喜ぶ。
「楽しみですね!」
アイリスも嬉しそうに笑った。
今は、水を張っただけの田んぼ。ここへ苗が植えられ、少しずつ成長していく。やがて、田んぼ一面が緑に染まり――。その先には、黄金色の稲穂が広がっていく。
レインは、そんな未来を想像するように田んぼを眺めた。
「どんな田んぼになるのか、楽しみですね!」
アイリスも、その言葉に頷く。
ナイトは何も言わず、女神のカメラを回していた。
今は、まだ何もない。
だからこそ――。
これから始まる米作りを、その最初から記録することができる。
こうして、コメライス村での田植え体験配信が決まった。
◇
田植え体験――。
レインとアイリスは、田んぼへ入るための準備をしていた。
二人が身に着けているのは――ゴム製のズボン。
コシオが、二人の姿を見ながら説明する。
「これはウェーダーといいます」
「ウェーダー?」
レインは自分の服装を見下ろした。
腰から足元までを覆う、ゴム製のズボンだ。
レインは試しに、足元を確認する。
「このズボン、すごい!」
少し驚いたように声を上げた。
「水、入ってこない!」
「当たり前でしょ!」
アイリスが思わず突っ込む。
コシオは穏やかに説明を続けた。
「水の中で作業するときに使うものですね」
「便利ですねぇ!」
レインは、ウェーダーを眺めながら感心する。
「これなら田んぼに入っても大丈夫ですね」
「そういうことです」
準備を終えると、二人はそのまま田んぼへ向かった。
そして――。
ゆっくりと、水の中へ足を入れる。
ザブッ。
「おおー!」
レインが声を上げる。
「わぁ……」
アイリスも驚いたように足元を見つめた。
水の中に足を入れると、柔らかな土の感触が伝わってくる。
普段歩いている地面とは、まったく違う感触だった。
少し離れた場所では、ナイトが女神のカメラを構えている。
「撮影中」
カメラが、二人の姿を捉える。
配信画面には――。
田んぼの中に入ったレインとアイリスの姿が映し出されていた。
すると、コメント欄が一気に盛り上がる。
『ウェーダー!』
『なんかカッコいいな!』
『レインさん似合う!』
『アイリスさんの作業着姿!』
『田植え配信きたー!』
レインはカメラを見ながら、嬉しそうに笑う。
「皆さん、見てください!」
両手を広げる。
「これから田植えをしますよー!」
アイリスは、手元の苗を見つめた。
「ちゃんと植えられるかしら?」
少し不安そうな表情を浮かべるアイリスに、コシオが笑顔で答えた。
「大丈夫ですよ。最初は私たちが教えますから」
二人は、コシオから苗を受け取る。
レインは、手の中の苗をじっと見つめた。
細く、小さな苗――。
これから田んぼで育ち、やがてお米になる植物だ。
「これが、お米になるんだな」
レインは苗を見つめながら、しみじみと言った。
「なんだか不思議ですねぇ」
アイリスも手元の苗を眺める。
こうして――。
レインとアイリスの、初めての田植え体験が始まった。
読んでくれてありがとうございます!
この作品は不定期で投稿してます。
※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




