第77回「積み重ねてきた日々」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
森の奥、木々の間から――。
魔王13号が姿を現した。
「グォォォーー!!」
魔王の咆哮が、辺り一帯へ響き渡る。
魔王を目の前にして、レインたちは迎え撃つ態勢を整えていた。レインは神ナリの剣へ魔力をチャージしている……。
アイリスが杖を構える。
「レイン! 今なら行けるわっ!」
「分かった!」
レインは神ナリの剣を構えた。
ナイトも女神のカメラを構える。
「よしっ! こいっ!」
そして――。
「魔王予報士、レイン!」
名乗ると同時に、地面を力強く蹴った。
「神ナリ一閃っ!!」――ズババーッ!!
鋭い一閃が、魔王13号を切り裂いた。
「グギャァァーーッ!!」
魔王13号が絶叫する。
その身体は、紫色の煙となって空へ溶け、その場には、小さな魔石だけが残された。
レインは神ナリの剣を鞘へ納める。
「ふぅっ……魔王13号、消滅しましたっ!」
ナイトが女神のカメラをレインへ向ける。
レインは満面の笑みでブイサインをする――
「ブイブイブイですね!」
アイリスも笑顔でブイサインを返す。
「はい! ビクトリーですっ!」
そして、二人は声を合わせる。
「「本日の魔王討伐も、無事終了です!」」
二人の笑顔が、配信画面に映し出される。
ナイトもカメラを回しながら宣言する。
「よし! オッケーだ!」
今日もまた――。
魔王予報は、人々へ安心を届けることができたのだった。
◇
魔王13号を討伐した翌日――。
レインたちは、いつものように配信を始めていた。女神のカメラが二人を映している。
「皆さん、おはようございます!」
レインが笑顔で手を振る。
「今日もよろしくお願いします」
アイリスも微笑みながら頭を下げた。
レインはコメントを確認しようと、魔法通信端末の画面を見る。
「……あれ?」
そして、目を丸くする。
「わあっ!」
突然、大きな声を上げた。
アイリスが驚いてレインを見る。
「どうしたの?」
レインは画面を指差した。
「登録者が……5000人を超えてるっ!!」
アイリスも画面を覗き込む。
「えっ? 本当だわね」
ナイトも確認する。
そして、静かに笑った。
「おめでとう!」
その瞬間――。
コメント欄が一気に流れ始めた。
『レインさん、登録者5000人おめでとうございます!』
『長かったー!』
『ついに5000人!』
『世の中の評価が変わってきたね!』
『これからも応援してます!』
次々と流れていく祝福のコメント。
レインは少し照れくさそうに笑った。
「皆さんのおかげですねっ!」
アイリスも嬉しそうに頷く。
「本当にありがたいです」
ナイトもカメラを回しながら言った。
「皆の応援で、ここまでやってこれた」
その言葉に、レインはもう一度コメント欄を見る。
最初の頃は、ほんの少ししかいなかった視聴者。魔王予報を始めても、信じてもらえなかった時期があった。それでも配信を続けてきた。
魔王を討伐し、人々へ情報を届け、避難する時間を作り、そして今――。
登録者は5000人を超えた。
すると、コメント欄がさらに騒がしくなる。
『お! ナイトさん来た!』
『天の声だ!』
『ナイトさん顔出ししてー!』
『イケメンらしいよ!』
ナイトは一瞬、動きを止めた。
「……それは秘密で」
レインとアイリスが、思わず吹き出す。
「ナイトは人気だなぁ」
「ふふっ!」
「俺は裏方だからな……」
ナイトはそう言いながら、淡々とカメラを回し続ける。
その時だった――。
レインが、あるコメントに気づいた。
『ランクアップできるんじゃない?』
レインが声を上げた。
「そういえば、ランクアップしてない!」
アイリスも思い出したように頷く。
「忙しくて、忘れてたね」
レインは画面を見つめる。
「Dランク、いけるか?」
すると――。
コメント欄に、期待の声が次々と流れ始めた。
『ランクアップ希望!』
『目指せ! Sランク配信者!』
『応援してるよ!』
『レインならいける!』
レインは嬉しそうに、何度も頷いた。
「ありがとうございます!」
そして、カメラへ向かって笑顔を見せる。
「これからも、皆さんに安心を届けられるよう頑張ります!」
アイリスも微笑む。
ナイトは静かにカメラを回し続ける。
画面の向こうでは――。
今日も温かなコメントが、途切れることなく流れ続けていた。
登録者5000人。
それは、三人が積み重ねてきた日々の証だった。
読んでくれてありがとうございます!
この作品は不定期で投稿してます。
※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




