第76回「決着」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
――王都中央広場。
もうもうと立ち込めていた砂ぼこりが、ゆっくりと晴れていく。
レインは息をのんだ。
「……え?」
砂煙の向こうに立っていたのは――。
ナイトだった。
両手で構えた女神のカメラが、魔王5号の鋭いツメを受け止めている。
ガキィィーン!!
激しい火花が散った。
ナイトは歯を食いしばりながら、それでも笑っていた。
「引きばっかりの絵面も、退屈だよなっ!」
そう言うと――。
ナイトは、そのまま魔王5号へ向かって蹴りを放った。
ガッ!
「いてぇーっ!」
しかし。
魔王5号は、ほとんど動かない。
ナイトは片足を押さえながら、顔をしかめた。
その様子に、配信コメントが勢いよく流れていく。
『ナイトさん、途中までカッコよかった!』
『蹴りは無理か!』
『でも助けたのは評価高い!』
『ナイス救出!』
「うるせぇ!」
ナイトは苦笑しながら叫ぶ。
そして、近くにいた騎士たちへ声を飛ばした。
「動ける騎士団の方!」
「団長を引かせて!」
「はいっ!」
数人の騎士が素早く駆け寄る。
倒れているシグルドを抱え上げ、安全な場所へと運び出していく。
シグルドは運ばれながら、ナイトへ声をかけた。
「すまないっ!」
「気にすんな!」
ナイトは女神のカメラを、再び盾のように構え直した。
その直後――。
「グワァァァー!!」
魔王5号が雄叫びを上げる。
ガキィーン!
鋭いツメが、女神のカメラへ叩きつけられる。
「ガキィーン!」
二撃目。
「ガキィーン!」
三撃目。
ナイトは必死にカメラを構え続ける。
「壊さないでくれよー!」
女神のカメラは、魔王5号の連撃を受け止めていた。
その様子を見ながら――。
レインは、静かに神ナリの剣を握る。
剣へ、雷光が集まっていく。
パチッ。
パチパチッ。
青白い雷光が刀身を纏う。
レインは剣を見つめる――。
「チャージ終わった! いけるよっ!」
アイリスは、すぐに女神の杖を掲げた。
「強化かけるわねっ!」
淡い光がレインを包み込む。
身体強化……視覚強化……筋力強化……。
三つの強化魔法が、レインの身体へ宿っていく。
レインは大きく頷いた。
そして――。
魔王5号を真っ直ぐに見据える。
神ナリの剣に、さらに強い雷光が走った。
レインは一歩、踏み出す。
「さぁ――」
雷鳴が響く。
レインは剣を構えた。
「皆に魔力、返してもらおうかなっ!」
神ナリの剣に、膨大な魔力が集まっていく。
バチッ……!
バチバチッ!!
青白い雷が刀身を包み込み、周囲の空気が震えた。
レインは、神ナリの剣を握りしめる。
そして――。
深く息を吸った。
「……行くよ」
その瞬間……。
レインは一気に駆け出した。
ナイトは女神のカメラを構えたまま、声を張り上げる。
「ヨシ! こいっ!」
レインは一直線に魔王5号へ突っ込んでいく。
神ナリの剣が雷光をまとい、眩しいほどに輝いた。
そして――。
「魔王予報士――レイン!」
「神ナリ一閃ッ!!」――ズバァァァーーッ!!
雷をまとった斬撃が、魔王5号を切り裂いた。
狙ったのは――。
シグルドが刻んだ、深い傷。
まったく同じ軌道。
「グワァァァァッ!!」
魔王5号の絶叫が、王都中に響き渡る。
そして――。
次の瞬間。
魔王5号の身体に、亀裂が走った。
黒い身体が、ゆっくりと崩れていく。
やがて、その身体は紫の煙へと変わった。
煙は空へ溶けるように消えていく。
そして――。
その場には、一つの魔石だけが残された。
コロン――。
静かな音を立てて、魔石が地面を転がる。
レインは剣を下ろした。
ゆっくりと息を整える。
そして、女神のカメラへ向かって告げた。
「魔王5号……吸収の魔王……」
「消滅しましたっ!」
その言葉と同時に――。
配信コメントが一気に流れ始めた。
『やったぁぁぁ!!』
『王都が助かった!』
『レインさん、お疲れさま!』
『シグルド団長すごい!』
『ナイトさんナイス!』
『アイリスさんの支援も最高!』
次々と流れていくコメント。
その一つ一つを見ながら、レインは笑った。
吸収の魔王――魔王5号。
その討伐は、決して一人の力ではなかった。
騎士団長シグルドの、渾身の一撃。
最後まで戦い抜いた騎士団。
みんなを支えた、アイリスの支援魔法。
命懸けで時間を稼いだ、ナイト。
そして――。
最後の一撃を放った、レイン。
皆の力が一つとなり――。
王都カルディアは、守られた。
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この作品は不定期で投稿してます。
※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




