第75回「死んでたまるか」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
――王都中央広場。
シグルドは、魔王5号を見据えていた。
静かに剣を構える。
「はぁぁ……!」
シグルドの全身から、魔力が溢れ出す。
それが少しずつ、剣へと流れ込んでいく。
刀身が――。
眩い光を放ち始めた。
レインは思わず目を見開く。
「すごい……!」
しかし……。
その代償は大きかった。
シグルドの顔色が、みるみる青ざめていく。
足元も、わずかにふらついている。
レインが心配そうに声をかける。
「シグルドさん! 大丈夫ですかっ!」
シグルドは魔王から目を離さない。
「ああ……大丈夫だ」
そう答えながらも、額には大粒の汗が浮かんでいた。
そして、シグルドはアイリスを見る。
「アイリスさん……強化を頼む」
アイリスはすぐに女神の杖を掲げた。
「はいっ!」
杖が輝く……淡い光がシグルドの身体を包み込んでいく。
「身体強化!」
「視覚強化!」
「筋力強化!」
三つの支援魔法が、シグルドへ重ねて施される。
シグルドは拳を握った。
そして、力強く頷く。
「ありがとう!」
その姿を、レインは心配そうに見つめていた。
「えっ……死ぬ気じゃないよね?」
シグルドは――。
豪快に笑った。
「ははっ!」
そして、力いっぱい叫ぶ。
「死んでたまるかっ!」
レインの表情が、少しだけ緩んだ。
「良かった!」
シグルドは剣を肩に担ぐ。
そして、魔王5号へ向き直った。
「じゃあ、行ってくる」
一歩。
また一歩。
魔王へ近づいていく。
そして、振り返らずに言った。
「ダメだったら、君に任せるよ」
レインは思わず苦笑する。
「あ……バレてる?」
レインの手には――。
神ナリの剣。
実は戦闘が始まってからずっと。
レインもまた、静かに力を溜め続けていた。
レインは剣を見つめる。
刀身には、強大な力が集まり続けている。
「あたしも、ずっとチャージしてるんだよね」
そして、優しく笑った。
「あたしの一撃で勝てるかもしれないんで……死なないでくださいね!」
シグルドの口元が緩む。
「……ふっ」
そして、力強く答えた。
「分かった!」
シグルドは両手で剣を握り締める。
全魔力を込めた剣がまばゆい光を放つ。
シグルドの身体から、最後の力が剣へ集まっていく。
そして――。
シグルドが一直線に魔王5号へ駆け出した。
「喰らえぇぇっ! はああぁぁぁっ!」
光り輝く魔法剣が、まばゆい軌跡を描く。
「神ナリ一閃ッ!!」――ズバァァッ!!
渾身の一撃が、魔王5号を斬り裂いた。
刃は左肩から右脇へ。
袈裟斬りに、深々と刻まれる。
「グガァァァッ!!」
魔王5号が絶叫した。
そして――。
深く刻まれた傷口から、紫色の煙が噴き出していく。
「入った!」
レインが叫ぶ。
アイリスも魔王を見つめる。
「効いてる!」
ナイトは女神のカメラを魔王へ向け続けていた。
「すげぇな……」
魔王5号は大きくよろめく。
その姿を見て、レインは確信した。
「間違いない! 勝てるっ!」
しかし――。
シグルドの膝が、がくりと崩れ落ちた。
「くっ……」
剣を支えにしようとする。
だが、身体が動かない。
全魔力を使い果たしたのだ――。
シグルドは荒い息を吐きながら、魔王を見上げる。
「ダメ……かっ!」
魔王5号は、傷口を押さえながらゆっくりと身体を起こす。
そして――。
シグルドへ視線を向けた。
その目には、明確な殺意が宿っている。
「まずい!」
レインが叫ぶ。
「シグルドさん! 逃げてっ!」
アイリスも声を上げる。
魔王5号が、鋭いツメを振り上げた。
そして――。
一気に間合いを詰める。
倒れたシグルドへ向かって、ツメを振り下ろした。
「シグルドさんっ!!」
ドゴォォーン!!
激しい衝撃音が、王都中央広場に響き渡った。
砂ぼこりが大きく舞い上がる――。
「……!」
レインたちは、息をのんだ。
砂煙が広場を覆い――。
誰も、その中の様子を見ることはできなかった。
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この作品は不定期で投稿してます。
※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




