第73回「吸収の魔王」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
――王都中央広場。
魔王5号は、大きく息を吸い込んだ。
そして――。
「グワァァァーッ!!」
凄まじい咆哮が、中央広場から城下町へ響き渡る。
次の瞬間だった。
シグルドたち騎士団を包んでいた光が――。
ふわりと揺れた。
そして、一斉に魔王5号へ吸い寄せられていく。
「ぐっ!」
アイリスは思わず女神の杖を握りしめた。
「強化魔法が……!」
騎士たちの身体を包んでいた淡い光が、次々と消えていく。
「な、なんだ!?」
「身体が……!」
シグルドは剣を構えたまま、魔王5号を睨みつける。
「強化魔法は奪われた」
そして、魔王の姿を確認する。
「だが――」
シグルドは冷静に続けた。
「魔王自体は、そこまで強くなってはいないな」
レインも頷く。
「なるほど……」
確かに、魔王5号の身体は少し大きくなった。
しかし、それだけだ。
少なくとも今のところ、圧倒的な力を見せているわけではない。
ナイトは映像を確認しながら、冷静に状況を分析する。
「でも、わりとまずい状況だな」
「え?」
レインがナイトを見る。
その時だった。
「グワァァァーッ!!」
再び、魔王5号が咆哮した。
今度は――。
騎士団だけではなかった。
王都全体から、淡い光が浮かび上がる。
「えぇーっ!?」
レインが目を見開く。
街灯……魔道具……魔法のランタン。
そして――。
魔法通信の設備……。
それらから次々と光が抜け出し、魔王5号へ吸い込まれていく。
「何だ!?」
「明かりが消えたぞ!」
街灯が、ひとつ。
またひとつ。
次々と消えていく。
そして――。
人々の身体からも、わずかな光が抜け出していった。
「な、なんだ……?」
「身体に力が……」
避難していた住民たちが、ざわめき始める。
王都カルディア……。
その街全体から、魔力が吸い上げられている。
レインは思わず声を上げた。
「最悪じゃん!」
アイリスも険しい表情になる。
「かなり厳しいわね……」
ナイトは女神のカメラを構えたまま、魔王5号を映し続けていた。
そして、ぽつりと呟く。
「いろいろな魔王がいるわな」
「感心すんなっ!」
レインが即座に突っ込んだ。
しかし――。
笑っていられる状況ではない。
魔王5号の身体は、さらに大きくなっている。
そして今もなお――。
王都中の魔力が、魔王へ吸い込まれている。
誰もが初めて目にする能力。
魔王5号――吸収の魔王――。
その脅威は、王都そのものを飲み込もうとしていた。
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※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




