第72回「魔力吸収」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
――王都中央広場。
シグルド率いる騎士団は、魔王5号を押し込んでいた。
アイリスの強化魔法によって、騎士たちの動きは明らかに良くなっている。
剣が舞う。盾が動く。魔王5号の鋭いツメを、騎士たちが次々と受け流していく。
しかし――。
その戦いを見つめていたレインが、ふと首を傾げた。
「……あれ?」
アイリスが振り向く。
「どうしたの?」
レインは魔王5号を指差した。
「なんか魔王さ……大きくなってない?」
ナイトもカメラの映像を確認する。
そして、静かに答えた。
「……ああ、一回り、でかくなってるな」
最初に現れた時。
魔王5号の身長は、およそ1メートルほどだった。
しかし今は――。
明らかに、それより大きい。
その時だった。
前線の騎士が声を上げる。
「うん?」
騎士は自分の身体を見回した。
「強化魔法がなくなった?」
アイリスが驚く。
「えっ!? そんなに早く?」
アイリスはすぐに女神の杖を掲げた。
「もう一度!」
杖から淡い光が放たれる。
光は騎士団全体を包み込んだ。
「身体強化!」
「視覚強化!」
「筋力強化!」
再び三つの支援魔法が騎士たちへ施される。
シグルドは剣を構え直した。
「よし!」
そして、魔王5号へ向かって叫ぶ。
「畳み掛ける!」
シグルドは剣へ魔力を流し込んだ。
刀身が淡く輝き始める。
レインが目を輝かせる。
「すごい! あれ何?」
アイリスが答える。
「魔法剣ね!」
シグルドは魔王5号を見据えた。
「はああぁっ!」
一気に踏み込む。
そして――。
渾身の一撃を叩き込んだ。
ガキィーン!
激しい衝撃音が中央広場に響き渡る。
確かな手応え。
シグルドは思わず叫んだ。
「やったか!」
しかし――。
魔王5号は、一歩も退いていなかった。
傷一つ付いていない。
「なっ……!」
シグルドの顔から笑みが消える。
その直後だった。
魔王5号の身体が――。
ゆっくりと膨らみ始めた。
「……なんだ?」
1メートルほどだった身体が、さらに大きくなっていく。
1.2メートル。
1.3メートル。
そして――。
1.5メートル近くまで。
その姿を見て、騎士たちがざわめく。
「大きくなってるぞ!」
「なんだ、こいつは……!」
さらに異変が起きた。
シグルドの剣を包んでいた魔力が――。
すっと消えた。
「なぜだっ!?」
シグルドが剣を見る。
刀身から、先ほどまで感じられた魔力が完全に消えている。
レインは息をのんだ。
「……魔力を吸収してる?」
アイリスも魔王5号を見つめる。
「まさか……」
魔王5号の身体から、異様な魔力が溢れ始める。
レインは静かに、その姿を見据えた。
そして――。
一つの答えに辿り着く。
「吸収の魔王……」
魔王5号――。
その恐るべき能力がついに明らかとなった。
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※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




