第71回「騎士団長シグルド」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
――王都中央広場。
紫色の煙の中から現れた魔王5号を、騎士団が取り囲んでいた。
騎士たちは一斉に武器を構え、魔王を警戒している。
その先頭へ、一人の騎士が歩み出た。
屈強な体格。 鋭い眼差し。 そして、堂々とした立ち姿。
騎士団長は剣を抜いた。
「俺はカルディア王国騎士団長――シグルド!」
シグルドは魔王5号へ剣先を向ける。
「魔王を討つ!」
その様子を、レインたちはすぐ側から配信していた。
「シグルドさん、気を付けてください!」
レインが声をかける。
「あたしも、一撃なら力になれます!」
シグルドが振り返った。
そして――。
「ああ! 神ナリ一閃ってヤツか? ――あれは反則だろっ!」
思わぬ言葉に、レインも笑顔になる。
そして、胸を張った。
「はいっ! 反則でも勝ちです!」
「はっはっは! その通りだ!」
シグルドは豪快に笑った。
張り詰めていた空気が、一瞬だけ和らいだ。
しかし――。
二人はすぐに魔王へ視線を戻した。
レインがカメラへ向かって告げる。
「魔王5号! 倒しましょう!」
シグルドは力強く頷き、剣を高く掲げる。
「魔王5号を討つ!」
そして、騎士団へ号令を飛ばした。
「皆、かかれっ!」
「おおっ!!」
騎士たちが一斉に駆け出す。
無数の足音が、中央広場に響き渡る。
魔王5号もまた、ゆっくりと構えた。
騎士団と魔王5号との戦いが、いま幕を開けた――。
シグルドは剣を構えると、一気に間合いを詰めた。
「はあっ!」
ガキィーン!
魔王5号の鋭いツメと、シグルドの剣が激しくぶつかり合う。
火花が飛び散った。
「おおおっ!」
続いて、騎士たちも一斉に斬りかかる。
ガキン!
ガキン!
ガキィン!
しかし、魔王5号は素早かった。
左右から迫る剣を、鋭いツメで次々と受け止めていく。
「速いぞ!」
「囲め!」
騎士たちが連携して攻撃を続ける。
その様子を見たアイリスは、女神の杖を構えた。
「騎士団の皆さん!」
アイリスが声を張る。
「強化魔法をかけます!」
シグルドは魔王5号と剣を交えながら叫んだ。
「すまない! 頼むっ!」
アイリスは大きく杖を振り上げる。
「身体強化!」
淡い光が騎士たちを包み込んだ。
続けて――。
「視覚強化!」
さらに光が広がっていく。
「筋力強化!」
三つの支援魔法が、同時に発動した。
「おおっ!」
騎士の一人が驚いたように声を上げる。
「体が軽い!」
別の騎士も剣を握り直した。
「力が湧いてくる!」
シグルドも自身の身体を確かめるように拳を握る。
そして――。
力強く笑った。
「力が溢れる!」
剣を構え直す。
「勝てる!」
騎士団の動きが、明らかに変わった。
素早く。
そして力強く。
先ほどまで受け止められていた攻撃が、今度は魔王5号を押し始める。
「行けぇっ!」
「押せっ!」
騎士団は一気に攻勢へ転じた。
その戦いを、レインたちは配信を続けながら見守っている。
レインは騎士たちの姿を見つめた。
「うん……」
魔王5号は、確かに押されている。
このままなら――。
「勝てる……?」
レインはそう呟いた。
しかし……。
その表情には、どこか不安が残っていた。
魔王5号は……驚異魔王――。
その本当の能力は、まだ誰も分からない。
読んでくれてありがとうございます!
この作品は不定期で投稿してます。
※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




