【改稿】第6回「三種の神器」
ゴロゴロ山、山頂――。
レインたちは、女神さまと向き合ってる。
「……魔王」
レインは、まだ信じられないといった表情でつぶやく。
『そうだ』
女神は、そろそろ受け入れろといった表情で頷く。
――女神に託された、大きな使命。
事前に魔王降臨の場所と日時が分かっていれば――。
力なきものは、逃げることができる。
力あるものは、迎え撃つことができる。
これが、女神さまがレインたちに期待していることなのだ。
期待と不安におしつぶされて、しぼんだ風船のようになるレイン。
「あたしに……できるかな」
そんな弱気なレインに、女神さまは背中を押す。
『なにも一人でやる必要はない』
『お前には仲間がいるんだろう?』
『三人でやればいい』
「三人で……」
そうだった――こんなに心強い仲間が隣にいる。
レインは、アイリスとナイトに顔を向けた。
アイリスは一人じゃムリよねという表情で微笑む。
ナイトは俺を忘れるなよという表情で力強く頷く。
レインは二人の笑顔を見ると、パンパンに膨らんだ風船のように心を弾ませた。
幼なじみ三人組の絆は、とても強いようだ。
『お前たち三人に、神の力を授ける』
『人々を守るための力だ――』
女神さまは、そのへんに転がった一本の避雷針を手に取る。
レインたちが持参した金属の棒――女神さまはこれを媒体として一振りの剣を創造する。
女神さまはその一振りの剣をレインに差し出す。
青白い雷光を纏った、細身で美しい一振りの剣――。
「これは……?」
『これは、神ナリの剣』
「神ナリの剣……」
レインは神ナリの剣の柄を握りしめると、ピリピリとした心地よい神気を感じた。
「すごい……」
『魔王予報でお前が見つけた魔王を、最期に打ち払うための力だ』
『その一撃は、神の雷を宿す』
『名を――、神ナリ一閃』
「神ナリ一閃……」
無意識につぶやきながら、レインはその美しい剣身を見つめた。
◇
続いて、アイリスが前に歩み出る。
アイリスは自分が愛用している魔法の杖を、そっと女神さまに差し出した。
女神さまが手に取ると、またもやそれを媒体にして、新たな魔法の杖を創造する。
現れた、女神の杖――。
格式高い神聖さと洗練された今風なデザインが見事に調和した、とても美しい魔法の杖――。
女神さまはその杖をアイリスに差し出す。
『これは、女神の杖』
「女神の杖……」
アイリスが女神の杖を受け取る。
自身の魔力が一気に覚醒していくような感覚に包まれた。
「すごいわ……」
女神さまはアイリスを見つめる――。
『お前は前に立つ者ではない』
『だが、仲間を支える力を持っている』
『回復、防御、強化……女神の杖は、その力をさらに高める』
「仲間を支えるために……」
『そうだ』
アイリスは愛おしそうに杖を胸に抱き、自分がなすべきことを心に刻んだ。
◇
最後に、女神さまの視線がナイトへに向く。
女神さまは、足元に転がっている壊れた魔導カメラを手にする。
そのカメラを媒体にして、新たな魔導カメラを創造した。
現れた、女神のカメラ――。
もともとの魔導カメラより一回り大きく、重厚な質感をまとった無骨なカメラ――。
『これは、女神のカメラ』
「……女神の……カメラ?」
生まれ変わった相棒を前に、ナイトはただただ見惚れる。
『お前は戦士ではない』
『だが……世界に伝えるという大切な役割がある』
『このカメラは、魔王との戦いにも耐え、どんな瞬間も記録できる』
ナイトは女神のカメラを受け取る。
ファインダーを覗き込んだナイトの唇が、自然と吊り上がった。
「……最高だな」
「剣よりカメラなのね」
くすりと微笑むアイリスの隣で、ナイトは愛おしそうにカメラのボディを撫でる。
「俺にとっては、これが武器だ」
そう言って、ナイトは力強くカメラを肩に担いだ。
「最高の瞬間を……世界に届ける」
三人は、女神さまから『三種の神器』を受け取った――。




