第68回「国王の前で魔王予報」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
――王城の応接間。
国王からの問いかけに、レインは静かに頷いた。
「分かりました……やってみます」
レインはゆっくりと立ち上がった。
そして胸の前で両手を組み、静かに祈るような姿勢を取る。
その様子を見ていたナイトが、小声で呟いた。
「……今まで、そんなポーズ取ってたか?」
隣にいたアイリスも、小声で返す。
「バカね……国王さまの前だからに決まってるでしょ!」
「あぁ……なるほど」
やっている感も、大事なのである。
レインは静かに目を閉じた――。
先ほどまで穏やかだった応接間。
今は誰一人として、言葉を発しない。
国王も……アンリエッタも……。
アイリスも……ナイトも……。
ただ、レインの様子を見守っている。
そして――。
「……あっ」
レインの表情が、みるみる青ざめていく。
「どうした?」
ナイトが小声で尋ねる。
アイリスも、すぐに察した。
「……感知したのね?」
レインは小さく頷く。
「うん……でも……」
しかし、その声は震えていた。
国王は静かにレインを見つめる。
「ふむ……どうした?」
レインは深く息を吸った。
そして、意を決する。
「……魔王予報です」
その一言で、応接間の空気が張り詰めた。
レインは続ける――。
「時刻は……今日の夕刻……」
「すぐかよっ!」
ナイトが思わず声を上げた。
しかし、すぐに背筋を伸ばす。
「あっ! すみません」
国王は気にする様子もなく、続きを促した。
レインは真剣な表情のまま、言葉を続ける。
「そこまで強くはなさそうです」
そして、レインの顔が曇る。
「ですが……驚異魔王です……」
アイリスもすぐに尋ねる。
「場所は?」
レインはゆっくりと目を開いた。
その瞳には、迷いがあった。
言いたくない……けれど……。
伝えなければならない。
レインは静かに告げた。
「場所はここ……王都カルディアです」
応接間が、完全に静まり返った。
国王の表情から、穏やかさが消える。
「……なんだと」
その声だけが、静かな応接間に響いた。
国王は静かにレインを見つめる。
「それは……確かなのか?」
レインは小さく頷いた。
「はい……」
ゆっくりと息を吸い込む。
そして、はっきりと言葉を続けた。
「降臨確率は……」
応接間に静寂が訪れる。
レインは一度、目を閉じる。
そして――。
「100%です」
誰も言葉を発しなかった。
国王は腕を組み、静かに考える。
そして、ぽつりと呟いた。
「……随分と正確だな」
「おそらく……」
レインは少し困ったような顔をする。
「降臨場所と、あたしの位置が近いから……かもしれません」
「かも?」
国王が聞き返す。
アイリスがすぐに補足した。
「まだ能力の詳細は、私たちにも分かっていません」
「手探りで運用している状態です。ご理解ください」
レインも申し訳なさそうに続ける。
「あと……」
「ここ最近ずっと緊張していたので……」
「魔王予報の感知が、少し遅れたのかもしれません」
国王は静かに頷いた。
そして、落ち着いた声で言う。
「まあ、よい……」
「事前に知ることができた」
国王はレインたちを見る。
「それが何より重要だ」
国王は立ち上がる。
そして、窓の外へ目を向けた。
そこには、広大な王都カルディアの街並みが広がり、大勢の人々が暮らしている……。
国王は静かに呟いた。
「民衆へ知らせる必要がある」
「どうしたものか……」
その時だった――。
アンリエッタが一歩前へ出る。
「お父様!」
国王が振り返る。
アンリエッタはレインたちを見た。
「それこそ、レインさんたちの配信では?」
「え?」
レインが目を丸くする。
国王はしばらく考え――。
大きく頷いた。
「そうだな」
そして、三人へ向き直る。
「レイン殿」
「アイリス殿」
「ナイト殿」
国王は真剣な表情で告げた。
「どうか、民衆へ知らせてほしい」
「はい!」
レインは力強く頷いた。
しかし、アイリスはすぐに口を開く。
「ですが、その前に避難先を決めなければなりません」
国王がアイリスを見る。
「行き先が分からないまま避難を呼びかければ、街中がパニックになります」
「その通りだ」
国王は頷いた。
そして、侍女へ視線を向ける。
「騎士団長を呼んでくれ」
「かしこまりました」
侍女は深く一礼すると、足早に応接間を後にした。
静かな王城の廊下を、侍女の足音が遠ざかっていく。
王都カルディア。
その運命を左右する時間が――。
刻一刻と近づいていた。
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※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




