第67回「感謝状授与」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
――王城の応接間。
国王はゆっくりと席を立った。
その横では、侍女が三通の感謝状を手にしている。
国王はそれを受け取ると、まずレインへ向き直った。
「レイン殿」
「はい!」
名前を呼ばれ、レインは少し緊張しながら前へ進む。
国王は優しく微笑むと、一通の感謝状を差し出した。
「そなたの魔王予報により、多くの命が救われた」
「王国を代表し、感謝を申し上げる」
「ありがとうございます!」
レインは両手で感謝状を受け取った。
その表情には、嬉しさと少しの緊張が混じっている。
続いて、国王はアイリスへ向き直った。
「アイリス殿」
「はい」
アイリスが一歩前へ出る。
「レイン殿を支え、配信と魔法支援に尽力された功績を称える」
国王は感謝状を差し出した。
「ありがとうございます」
アイリスは丁寧に頭を下げ、感謝状を両手で受け取った。
そして最後に――。
国王はナイトへ向き直った。
「ナイト殿」
「はい」
ナイトは一歩前へ出る。
「配信を通じて、世界へ正確な情報を届け続けた功績は誠に大きい。その働きに心より感謝する」
国王は感謝状を差し出した。
「ありがたく頂戴いたします」
ナイトは感謝状を受け取ると、静かに頭を下げた。
今一度、三人の顔を見て、国王は満足そうに頷いた……。
三人への授与を終えると、隣で見守っていた王女アンリエッタが微笑む。
「皆さん、本当におめでとうございます」
「ありがとうございます!」
レインは嬉しそうに答えた。
レインは、自分の感謝状を眺めながら小さく笑った。
「まさか、本当に国王さまから直接いただけるなんて……」
「夢みたいね」
アイリスも感謝状を見つめる。
「……ああ」
ナイトも静かに頷いた。
三人は改めて、手にした感謝状を胸に抱く。
それは、魔王を倒した勲章ではない。
魔王が現れることを予報し。
危険を知らせ。
人々が避難する時間を作る。
そして――。
人々の命を守るため、予報を届け続けた。
その功績を認めてもらった証だった。
◇
感謝状の授与を終え、先ほどまで張り詰めていた空気は、少しずつ和らいでいた。
テーブルには、お茶と色とりどりのお菓子が並んでいる。
国王とアンリエッタを交え、三人は穏やかな談笑を楽しんでいた。
アンリエッタが興味深そうにレインを見る。
「配信では、毎日お知らせをされているんですね」
「はいっ!」
レインは元気よく答えた。
「そうでありますっ!」
「ふふっ」
アイリスが思わず吹き出す。
「レイン、緊張してるでしょ」
「ちょっとだけ!」
レインが照れくさそうに笑う。
その様子を見て、国王も優しく笑った。
アンリエッタは楽しそうに話を続ける。
「お父様! 私も、その魔法通信端末というものが欲しいです」
国王が王女を見る。
「うん……まあ、考えておこう」
「本当ですか?」
アンリエッタの表情が、ぱっと明るくなる。
その様子を見て、レインは苦笑した。
「ははは……」
ナイトがアンリエッタに尋ねる。
「王女様も、配信をご覧になるんですね」
「もちろんです」
アンリエッタは嬉しそうに頷いた。
「皆さんの配信、とても分かりやすいですから」
ナイトは少しだけ胸を張る。
「そう言っていただけると、配信者冥利に尽きますね」
最初は緊張していた応接間。
しかし、いつの間にかそんな空気は消えていた。
お茶を飲み……。
お菓子をつまみ……。
時折笑い声が響く……。
国王も、アンリエッタも、レインたちも。
身分を越えて、穏やかな時間を過ごしていた。
「私も登録しますよ!」
アンリエッタが笑顔で言う。
「ありがとうございます!」
レインも満面の笑みで答えた。
そんな和やかな時間が続いていた。
◇
しばらく談笑が続いた頃――。
国王が湯飲みをテーブルへ置いた。
コトンッ……。
小さな音が、静かな応接間に響く。
国王は、ゆっくりとレインを見る。
「レイン殿」
「はい?」
レインも国王へ顔を向けた。
「その魔王予報というのは……」
国王は少し考えるように、間を置く。
「今、この場でもできるのかね?」
その言葉とともに、応接間の空気がふっと引き締まった。
レインは国王の表情を見つめる――。
試すような表情ではない。
ただ、自分の目で確かめたい。
そんな眼差しだった。
レインは、ゆっくりと頷いた。
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※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




