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魔王予報のお時間です〜午前中は魔王が暴れるでしょう。午後には討伐され絶好のスローライフ日和になるでしょう〜  作者: さば味リン
2章 承

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第59回「過激な意見」

※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。

――王宮会議室。

会議は、まだ続いている。


それまで黙っていた男が、ゆっくりと口を開く。

「……ひとつ、気になることがあります」


室内の視線が集まる。

「魔王予報士が予報した魔王は、これまで四体」


男は資料を指で叩いた。

「そしてーー、その四体すべてが、カルディア王国に降臨しています」


室内が静かになる。

「偶然かもしれません……」


男はそう前置きした。

「しかし、本当に偶然なのでしょうか?」


アルスが眉をひそめる。

「どういう意味だ?」


男はアルスを見た。

「可能性の一つとして……魔王予報士自身が、魔王を呼び寄せているのではないか?」


「なに?」

室内にざわめきが広がった。


「魔王を召喚する術があるとしたら?」

「そして、自分で魔王を呼び出しておきながら、それを予報する」

男は淡々と続ける。


「魔王予報という名前を使った、王国への攻撃……」


「そんな馬鹿な!」

アルスが思わず声を上げた。

「証拠はあるのか?」


「ありません」

男は即答した。

「ですが、可能性を否定する証拠もありません」


「四体すべてが王国内に現れている」

「そして、その場所を事前に知っていたのは魔王予報士だけです」


カタリナが険しい表情になる。

「それだけで、彼女を疑うのですか?」


「疑っているのではありません」

男は静かに答える。


「国家として、最悪の可能性を考えているのです」


ミネルバが口を挟む。

「でも、彼女の予報によって避難できた街もあるわ」

「結果として、被害を減らせたことも事実では?」


「ええ」

男は頷いた。

「だからこそ、判断が難しい」

「最初に信頼を得るための自作自演かもしれません」


その言葉に、室内の空気が重くなる。


さらに別の人物が口を開いた。

「もう一つ、考えなければならない問題があります……」

「他国です――」


「もし、魔王予報士の能力が他国に知られたら?」

「他国が彼女を引き抜こうとする可能性は十分にあります」

「その結果、魔王予報士が他国へ渡った場合……誰が責任を取るのです?」


誰も答えない。

「だからこそ、王国の管理下に置くべきです」

「少なくとも、自由に他国へ渡れる状態にしておくべきではありません」


騎士団長が口を開く。

「管理下と言っても、具体的にはどうするつもりです?」


男は少し考えた。

「王国との契約を結ばせる」

「活動範囲を制限する」

「魔王予報に関する情報を、王国へ報告する義務を持たせる」


そこまでは、まだ現実的な案だった。

しかし――。


別の男が、冷たい声で言った。

「それでも足りない」


室内の空気が変わる。


「もし、本当に魔王召喚の才を持っているのなら?」

「危険なのは、魔王そのものだけではありません」

「魔王を呼び出せる人間が、自由に活動していることです」


アルスが立ち上がる。

「だから、どうしろと言うんだ?」


男は、ためらうことなく答えた。

「隷属です」


「……!」

室内が凍りついた。


「王国に逆らえないようにする」

「魔王召喚の力を持つ者なら、それくらいの措置は必要ではありませんか?」


「ふざけるな!」

アルスが声を荒らげる。


「レインが何をしたっていうんだ!」

「魔王を呼んだという証拠もない!」

「それどころか、彼女は人を救っている!」


男は動じない。

「だからこそ、まだ決めつけてはいけないと言っている」

「ですが、もし本当に魔王を召喚できるのなら?」

「その時、誰が責任を取るのです?」


アルスは言葉を失った。

正しいとも、間違っているとも言い切れない。


ただ――。

今、この会議で話されていることは、あまりにも危険だった。

一人の少女の能力をどう扱うか。

それだけの話だったはずなのに。


いつの間にか――。

彼女の自由を奪う話にまで発展している。


騎士団長が重い口を開いた。

「……落ち着いてください」

「まだ何も分かっていない」

「魔王召喚の才があるという証拠もない」

「そして、魔王予報士が魔王を呼んでいるという証拠もない」

「現時点で、隷属などという判断を下すことはできない」


過激派の男は最後に一言だけ告げた。


「ならば、調べるべきです」

「魔王予報士が何者なのか」

「その力が、本当に人を救うためのものなのか」

「それとも――」


男は静かに目を細めた。

「王国を滅ぼすためのものなのか」


会議室に、重い沈黙が落ちた。

読んでくれてありがとうございます!

この作品は不定期で投稿してます。


※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。

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