第56回「誰もいない街」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
魔王3号の討伐を終えた勇者パーティと王国騎士団。
しかし、休んでいる時間はなかった。
次の戦場が待っている。
目的地は、魔王4号の降臨が予測されている街。
勇者パーティと王国騎士団は、馬を走らせた。
そして――。
数日後、魔王降臨予定の街が見えてくる……。
一行はそのまま街へ入る。
しかし……。
アルスたちは、妙な光景を目にした。
人がいない……。
正確には、街に残っている人が極端に少なかった。
騎士団長が周囲を見渡す。
「人が少ないな……」
隣の騎士が答えた。
「避難が完了しています」
「そうか……。」
騎士団長は静かに頷いた。
街には、人の姿こそ少ないものの、戦いに備えた準備が整えられていた。
避難誘導……物資の移動……。
負傷者を受け入れるための救護所……。
魔王が現れる前に、できる限りの準備が進められていたのだ。
アルスは静かに街を見渡した。
そして、ぽつりと呟く。
「これが……魔王予報の力か」
魔王が現れる場所を、事前に知る。
それだけで、街はここまで変わる。
被害が出る前に、人を逃がすことができる。
戦う者たちも、あらかじめ備えることができる。
その時だった――。
ゴゴゴゴゴ……。
大地が揺れ始めた。
騎士たちが一斉に身構える。
「来るぞ!」
地面から、紫色の霧が立ち上る。
霧は次第に一箇所へ集まり――。
その中心から、巨大な影が姿を現した。
魔王4号――。
ついに、降臨した。
騎士団長が剣を掲げる。
「全軍、戦闘開始!」
「おおっ!」
騎士たちが一斉に駆け出す。
アルスたちも、魔王4号へ向かって走り出した。
街には、もう守るべき住民たちの姿はほとんどない。
誰もいない街。
そこにいるのは――。
魔王と。
それを討つために集まった者たちだけだった。
◇
一方、その頃……。
遠く離れたホミラタウン――。
レインたちは、魔法通信端末の画面を見つめていた。
そこには、魔王4号と戦う勇者パーティ、そして王国騎士団の姿が映し出されている。
レインは祈るように両手を握った。
「みんな、無事でいて……」
アイリスが静かに画面を見つめる。
「今回は避難が間に合ったわね」
ナイトも頷いた。
「これが魔王予報の力だ」
魔王は止められない。
魔王が現れることそのものを、レインたちが防ぐことはできない。
それでも――。
備えることはできる。
逃げることができる。
戦う準備をすることができる。
そして、一人でも多くの命を守ることができる。
レインは画面を見つめた。
魔王が現れる限り。
彼女は予報を届け続ける。
誰かの命を守る、その一助となるために。
読んでくれてありがとうございます!
この作品は不定期で投稿してます。
※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




