第53回「Sランク配信者」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
レインの魔王予報を受け、カルディア王国の騎士団と勇者パーティが魔王3号へ挑んでいる。
その戦いを、レインたちも魔法通信端末で見守っていた。
画面には、戦場を上空から映した迫力ある映像が映し出されている。
騎士たちが駆け、勇者が魔王へ斬りかかる。
魔法が飛び交い、巨大な魔王が咆哮する。
まるで戦場そのものを見下ろしているような映像だった。
レインが目を輝かせる。
「すごーい!」
画面を見ながら感心したように続けた。
「個人勢で軍の戦闘を配信するとかっ!」
「凄いですね!」
アイリスも画面を覗き込む。
ナイトは、しばらく何も言わずに映像を見つめていた。
カメラの位置。
映像の安定性。
戦場全体を見渡せる視点。
騎士たちの動きを邪魔することなく、必要な場面を正確に捉えている。
やがてナイトが呟いた。
「……Sランク配信者だな」
「Sランク配信者?」
レインが振り向く。
ナイトは画面を指差した。
「遠距離撮影系のスキルだろう」
「かなり離れた場所から、安全に戦場全体を撮影している」
アイリスが納得したように頷く。
「だから、こんなに綺麗な映像なんだ」
「そういうことだ」
ナイトは映像から目を離さない。
レインがふと疑問を口にする。
「これ、捕まらないの?」
アイリスが答える。
「場所は公共ですからね。問題ないですよ」
ナイトも続ける。
「軍の作戦を妨害しているわけでもない」
「配信者ギルドの規約も守っているんだろう」
画面の端には、配信者の名前が表示されていた。
『カメラス』
「カメラスって人かぁ!」
レインが名前を読み上げる。
アイリスが頷いた。
「有名なSランク配信者ね」
そして、ナイトの方を見る。
「ナイトのライバルかしら?」
ナイトは少しだけ笑った。
「そうなれるよう、頑張るさ」
その言葉に、レインがすぐに笑顔になる。
「ナイトなら、きっとなれるよ!」
ナイトは静かに頷く。
そして、もう一度画面へ目を向けた。
戦場を正確に映す。
必要な情報を切り取り、世界へ届ける。
それは、ただの娯楽ではない。
遠く離れた場所にいる人々が戦況を知り、状況を理解するための情報でもある。
魔王予報が人々へ危険を知らせる力なら――。
戦場を映し出す配信技術もまた、人々の命を守る力の一つだった。
読んでくれてありがとうございます!
この作品は不定期で投稿してます。
※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




