第51回「王国の対応」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
ある日の午後――。
レインたちは緊急配信を開始した。
魔王予報は、決まった時間に配信されるものではない。
魔王の気配を感じた、その瞬間。
世界へ向けて、すぐに配信する。
それが、レインたちのスタイルだった。
そして最近――。
レインの魔王予報は、少しだけ精度が上がってきていた。
降臨場所や確率だけではない。
通常魔王なのか。
それとも、より危険な驚異魔王なのか。
それを、少しずつ見極められるようになってきたのだ。
レインたちの配信が始まる――。
「皆さん、こんにちは! 魔王予報のお時間です!」
レインがカメラに向かって、いつものように明るく挨拶する。
「こんにちは!」
隣では、アイリスも笑顔で挨拶した。
レインは机の上に地図を広げる。
ナイトがその地図にカメラを向ける。
「今回は、この地域と……こちらの地域に魔王が降臨すると思います」
レインは地図上の二か所を指差す。
「この地域は降臨確率60%」
続けて、もう一か所を指す。
「こちらの地域は80%です」
コメント欄が一気に流れ始める。
『二か所同時!』
『急いで避難だ!』
『どっちも高いぞ!』
アイリスが地図を見ながら尋ねる。
「驚異魔王ですか?」
レインは静かに首を横へ振った。
「どちらも通常魔王ですね」
アイリスは少しほっとした顔をする。
レインは二か所を順番に指差した。
「こちらを魔王3号。こちらを魔王4号とします」
アイリスは首を傾げながら言う。
「降臨しなくても、番号は付けるんですね」
「はい、そう決めました!」
レインは迷いなく答えた。
すると、カメラの後ろからナイトの渋い声が響く。
「最初に番号を付けておけば、後から話すときも楽だろ」
「あの魔王……じゃ、どいつのことか分からないからな」
「ふむ、なるほど」
アイリスが納得したように頷く。
レインは嬉しそうに頷いた。
「少しずつだけど、魔王予報も進化してるんです!」
コメント欄にも、次々と反応が流れていく。
『分かりやすい!』
『番号があると覚えやすい!』
『予報の精度が上がってる!』
『頑張ってください!』
レインは画面の向こうにいる視聴者へ向かって、深く頷いた。
魔王予報は、人々の命を守るためにある。
だからこそ、少しでも早く……。
少しでも正確に……。
レインの力は、少しずつ成長していた。
◇
レインによる緊急の魔王予報――。
世界へ向けて発信されたその内容は、大きな衝撃を与えた。
魔王3号と魔王4号……。
どちらも通常魔王の見通しではあるが……。
――カルディア王国、王城。
二つの魔王予報を受け、カルディア王国はすぐさま対応を開始した。
会議室には騎士たちが集まり、大きな地図を囲んでいる。
誰もが真剣な表情を浮かべていた。
騎士団長が地図を見ながら口を開く。
「降臨予測は二か所」
二つの地域に印が付けられている。
一人の騎士が、それぞれの距離と日程を確認した。
「日程を考えれば、魔王3号を討伐した後、そのまま魔王4号へ向かえます」
その言葉に、勇者も頷く。
「十分に間に合う」
騎士団長は静かに頷いた。
「今回は、勇者パーティと騎士団の合同作戦とする」
今回は、魔王が二体現れる可能性がある。
だからこそ――。
王国は、持てる限りの戦力を投入することにした。
◇
一方、その頃。ホミラタウン――。
配信を終えたレインたちは、王国の動きを見守っていた。
魔法通信端末の画面には、出発する騎士たちの姿が映っている。
レインが静かに呟いた。
「王国、動いたね」
アイリスも画面を見ながら頷く。
「これだけの戦力なら、大丈夫そう」
ナイトは腕を組み、落ち着いた声で言った。
「今回は静観しよう」
レインは少しだけ考えてから、静かに頷いた。
そして、画面の向こうへ進んでいく騎士団を見つめる。
「今後を考えると、あたしたちだけで全部の魔王に対応するのは無理だもん」
アイリスが頷く。
「だからこそ、国が対応できるようになるのが一番ね」
「俺たちの役目は、早く正確に知らせること」
ナイトの言葉に、レインも続けた。
「そして、みんなが動けるようにすること」
三人は、それ以上何も言わなかった。
画面の中では、王国の騎士たちが進んでいく……。
自分たちが届けた予報によって、人々が動き始める……。
レインはその姿を見つめながら、小さく呟いた。
「頑張って……」
騎士団の進軍を見送りながら、三人は静かに願った。
どうか、無事に魔王を討伐できますように。
魔王予報は、ただ危険を知らせるだけではない。
人々が備え、国が動き、そして――。
世界がひとつになって命を守る。
その第一歩が、今まさに始まろうとしていた。
読んでくれてありがとうございます!
この作品は不定期で投稿してます。
※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




