第44回「配信者です」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
ユノハナタウンの広場――。
統率の魔王は消滅した。
しかし――。
街には、まだ多くの魔物が残っていた。
ゴブリンやオーク、ワイルドボア……。
統率の魔王によって集められた魔物たちは、いまだ街の各所で暴れている。
冒険者たちは武器を手に、それらの討伐を続けていた。
一方――。
魔王との戦いを映していた配信のコメント欄は、大盛り上がりだった。
『レインさん、カッコいい!』
『神ナリ一閃、最高!』
『俺も一閃されたい!』
『いや、その前に画角が神だった!』
『ナイトさん、撮影うますぎる!』
『アイリスさんの強化魔法が起点だったね!』
『三人とも最高!』
戦場を見回していたナイトが、カメラを構えたまま口を開く。
「レイン、一旦下がるぞ」
「分かった!」
レインは素直にうなずいた。
三人は、魔物と戦う冒険者たちの後方へと移動する。
すると、アイリスが再び女神の杖を掲げた。
「身体強化!」
続けて、もう一度。
「筋力強化!」
女神の杖から放たれた金色の光が、戦場を駆け抜ける。
光に包まれた冒険者たちは、再び勢いを取り戻した。
「うおおおおっ!」
「押し返せ!」
「あと少しだ!」
冒険者たちは一気に攻勢へ転じる。
残ったゴブリンやオーク、ワイルドボアたちが、次々と押し返されていった。
その様子を眺めながら、レインは首をかしげる。
「んー……」
少し考えてから、ぽつり。
「もう、あたしの出番ないかも?」
ナイトは苦笑しながら、カメラ越しに戦場を見る。
「そうだな」
そして、さらりと言った。
「俺たちは配信者だからな」
「……あっ! そっか!」
レインが目を丸くする。
そして、両手をぽんと叩いた。
「忘れてたー!」
ナイトが思わず笑う。
「いつから冒険者になったんだ?」
ナイトの言葉に、レインは笑顔で首を振る。
「はい! なってませんよ!」
胸を張って答える。
「あたしたちは配信者ですっ!」
アイリスも思わず吹き出した。
「ふふっ」
「ははは」
三人の笑い声が、戦場の中に響く。
魔王は倒れた……。
けれど、戦いはまだ終わっていない。
そんな中でも、三人は三人らしく、配信を続けていた。
その姿もまた、世界中へ届けられている。
コメント欄には、温かい言葉が次々と流れていった。
『レインさんに文句言ってた人、見てる?』
『この人たちのおかげで助かったんだよ』
『ナイトさんのカメラワーク最高!』
『僕はアイリス派!』
『いや、レイン派!』
『三人とも応援してる!』
レインはコメントを眺めながら、少し照れたように笑った。
そして、カメラに向かって元気よく頭を下げる。
「ありがとうございます!」
いつもの笑顔……。
魔王との戦いを終えたばかりとは思えないほど、明るい声だった。
「これからも、皆さんに天気と魔王予報をお届けします!」
その言葉が、世界中へ流れていく。
ユノハナタウンには、まだ戦いの跡が残っている。
けれど――。
魔王が消えた街には、少しずつ人々の声が戻り始めていた。
そして。
レインたちの笑顔もまた、戦いを終えた温泉街に、少しずつ平和を取り戻していった。
読んでくれてありがとうございます!
この作品は不定期で投稿してます。
※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




