第41回「詰んだ」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
――ユノハナタウンの広場。
ナイトは女神のカメラをしっかりと構え、戦場を映し続けていた。
画面に映っているのは、統率の魔王。
そして――。
その周囲を埋め尽くす、魔物の群れ。
ゴブリンやオーク、ワイルドボア……。
その数は、すでに数十体にも及んでいる。
アイリスが、戦場を見ながら眉をひそめた。
「おかしい……魔物たちまで強くなっています!」
魔王2号の身体から放たれる、紫色の魔力。
その魔力が周囲の魔物たちを包み込んでいる。
普段なら、冒険者たちがそれほど苦労せずに倒せる魔物。
しかし、今は違った。
「ぐあっ!」
ゴブリンの一撃を受けた冒険者が、吹き飛ばされる。
「ダメだ!」
別の冒険者が叫ぶ。
「勝てるわけない!」
オークの一撃が盾を砕く。
さらにワイルドボアが街中を猛スピードで駆け回り、建物や露店を巻き込みながら暴れ回る。
「いつもの強さじゃない!」
冒険者たちは必死に応戦するも……。
完全に、押されていた。
レインは神ナリの剣を握りしめる。
目の前に広がる魔物の群れを見渡した。
「……あたしの神ナリの剣じゃ」
レインは一度、息を吸う。
「この数は裁けない」
ナイトは冷静に戦場を見渡した。
「そうだな」
そして、レインへ告げる。
「レインは魔王だけ倒すことを考えろ」
レインは頷いた。
「うん!」
だが――。
その先には、魔物の壁がある。
魔王2号は後方に立っていた。
そして、自分を守るように魔物たちを配置している。
ゴブリンやオーク、ワイルドボア……。
さらに、その後ろにも魔物がいる。
何重もの壁……。
まるで、魔王へ近づく者を絶対に通さないための防衛線だった。
レインは、その光景を見て呟く。
「魔王へ行く前に……」
「魔物にぶつかっちゃう」
その時……。
魔王2号が、大きく咆哮を上げた。
「グワァァァッ!!」
その声に反応するように、魔物たちが一斉に動き出す。
「来るぞ!」
「下がれ!」
冒険者たちが後退を始める。
必死に武器を構えながらも、恐怖を隠せない。
やがて、誰かが小さく呟いた。
「……逃げるか?」
その言葉に――。
誰も反論できなかった。
戦況は明らかに悪い。
魔王は強い……。
魔物は強化されている。
しかも数が多い……。
さらに、魔王は魔物たちを盾にしている。
これでは、魔王へ近づくことすらできない。
配信のコメント欄も、不安で埋め尽くされていく。
『ヤバい……』
『数が多すぎる!』
『詰んだ……』
『レインさん、逃げて!』
『無理しないで!』
レインは、そのコメント欄をじっと見つめていた。
そして、ゆっくりと息をのむ。
目の前には――。
統率の魔王。
その前を埋め尽くす、魔物の大群。
魔王1号よりも厄介な相手だった。
レインは神ナリの剣を握り直す。
「……どうしよう」
レインは、すぐに答えを出せなかった。
ユノハナタウン最大の危機が、今まさに始まっていた。
読んでくれてありがとうございます!
この作品は不定期で投稿してます。
※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




