第40回「統率の魔王」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
――ユノハナタウン、街の広場。
そこに、魔王2号が巨大な姿を現していた。
黒い身体に鋭い爪……
全身には禍々しい紫色の紋様が走り……
その身体からは紫の魔力が広がっている。
「グワァァァッ!!」
魔王2号が雄叫びを上げた。
次の瞬間……。
大きな爪が振り下ろされる。
「ガキィン!!」
冒険者が剣で受け止める。
しかし――。
「ぐあぁぁっ!!」
力で押し切られ、そのまま吹き飛ばされた。
地面を転がり、なんとか立ち上がる。
「強すぎる……!」
別の冒険者が息を呑んだ。
街には、すでに多くの冒険者が集まっていた。
町長からの依頼を受け、この街を守るために駆けつけた者たちだ。
だが、その誰もが魔王2号の圧倒的な力に苦戦している。
「囲め!」
「一人で近づくな!」
「援護するぞ!」
冒険者たちが連携して攻撃を仕掛ける。
それでも、魔王2号は怯まない。
一撃。
また一撃。
そのたびに冒険者たちが押し返されていく。
少し離れた場所では、別の配信者たちも現地の様子を中継していた。
「皆さん、ご覧ください!」
配信者がカメラに向かって叫ぶ。
「あれが魔王です!」
「冒険者たちが果敢に戦ってます!」
その時だった――。
魔王2号が、突然空へ向かって顔を上げる。
そして――。
「グワァァァァーーッ!!」
凄まじい咆哮が、ユノハナタウン全体へ響き渡った。
「グワァァァァーーッ!!」
山々に反響するように、咆哮が何度も響く。
冒険者たちが周囲を見回す。
「……なんだ?」
その直後……。
森の奥から、何かが動き始めた。
ガサッ。
ガサガサッ。
木々の間から、次々と魔物が姿を現す。
ゴブリン。
オーク。
ワイルドボア。
一体。
また一体。
そして――。
その数は、瞬く間に増えていった。
「なんだと!?」
「魔物まで来るぞ!!」
森から現れた大量の魔物たちは、一斉にユノハナタウンへ向かって走り始める。
「魔王だけじゃないのか!」
「迎え撃て!」
「街の中へ入れるな!」
冒険者たちが慌てて隊列を組み直す。
温泉街は、一瞬にして戦場へと変わった。
魔王――。
そして、その雄叫びに引き寄せられた大量の魔物たち。
まるで――。
一つの軍隊だった。
その光景を、ナイトは女神のカメラで映し続けている。
「配信開始!」
女神のカメラが魔王と魔物の群れを捉える。
コメント欄が激しく流れ始めた。
『魔物が多すぎる!』
『これ、街を守れるのか!?』
『魔王一体だけじゃないのかよ!』
『冒険者のみんな頑張って!』
アイリスは、魔王2号を見つめていた。
「魔王が……」
そして、その異常な光景を理解する。
「魔物を従えています!」
レインは静かに魔王2号を見据えた。
魔王の周囲に集まる魔物。
その動き……。
そして、魔王が上げた咆哮。
すべてを見たレインは、その能力を理解した。
「……統率の魔王」
レインは、世界中の視聴者へ向けて告げた。
「この魔王は、魔物たちを率いる力を持っています!」
その言葉が、魔法通信を通して世界中へ流れていく。
人々は初めて知る。
魔王とは――。
一体だけで恐ろしい存在なのではない。
周囲の魔物さえも従え、軍勢を作り上げる。
街ひとつを丸ごと飲み込む……そんな災厄なのだと。
読んでくれてありがとうございます!
この作品は不定期で投稿してます。
※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




