第39回「魔王2号」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
――ユノハナタウン。
宿の一室では、いつものように朝の配信が始まっていた。
窓から差し込む朝日。
湯けむりが街のあちこちから立ち上り、穏やかな朝の空気が流れている。
レインは、いつもの笑顔でカメラに向かって手を振った。
「皆さん、おはようございます!」
「おはようございます!」
アイリスも隣で挨拶する。
ナイトは女神のカメラを構え、二人をしっかりと映していた。
「今日の天気予報のお時間です!」
いつもと変わらない朝。
天気を確認し、今日の予報を伝えていく。
そして――。
天気予報を終えたレインの表情が、少しだけ変わった。
「そして、魔王予報です」
レインは、静かに告げた。
「ユノハナタウンの魔王降臨確率は、60%」
アイリスも続ける。
「絶対ではありません」
「ですが、万が一に備えて行動をお願いします」
レインが頷く。
「よろしくお願いします!」
いつものように配信を締めくくろうとした、その時だった。
「キャーーーッ!!」
宿の外から、女性の悲鳴が響いた。
レインが目を見開く。
「えっ!?」
ナイトもすぐに立ち上がった。
「なんだ!」
アイリスは窓へ駆け寄る。
そして、外を見た瞬間――。
「レイン! 紫の煙よ!」
レインも窓へ駆け寄る。
ナイトは女神のカメラを抱え、急いで窓の外へ向けた。
カメラの画面に映し出されたのは、街の広場だった。
そこから――。
不気味な紫色の煙が立ち上っている。
煙はどんどん濃くなり、その中心で巨大な影が揺らめいた。
やがて……。
ゆっくりと、その姿が現れる。
身長は……約2メートル。
黒い身体。
そこには、禍々しい紫色の紋様が走っている。
両手には鋭い爪。
街の中央に現れた、その姿は――。
明らかに人間ではなかった。
魔王――。
レインは息をのんだ。
そして、カメラの向こうにいる世界中の視聴者へ向けて、静かに告げる。
「……魔王2号です」
その一言が、魔法通信を通して世界へ流れていく。
コメント欄が、一気に動き始めた。
『出た……』
『本当に来た!』
『レインさん、気をつけて!』
『騎士団は来てるのか!?』
『町の人は避難して!』
恐怖。
驚き。
そして、三人への心配。
様々なコメントが画面を埋め尽くしていく。
ナイトは女神のカメラをしっかりと構えた。
その表情に、迷いはない。
「レイン! 現地へ行くぞ!」
レインは力強く頷いた。
「うん!」
アイリスも女神の杖を握りしめる。
「この街を守りましょう」
三人は宿を飛び出した。
街の広場へ。
魔王が現れた場所へ。
そして――。
その様子は、魔法通信を通して世界中へ届けられる。
読んでくれてありがとうございます!
この作品は不定期で投稿してます。
※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




