【改稿】第3回「山頂のカミナリ配信」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
ゴロゴロ山の山頂――。
レインたち三人の特別企画『山頂のカミナリ配信』――。
どうやら順調に進んでいるようだ。
「皆さん! 見て下さい!」
レインが指さしたその上空には、巨大な雷雲が広がっている。
ゴロゴロ……。
重低音の地鳴りが響く。
この大迫力の現地映像に、コメント欄の熱気も急速に発達していく。
『雲の大きさがおかしい!』
『画面真っ黒でなんか怖い』
『これ笑えないやつ……ほんとに大丈夫?』
「絶対に大丈夫です! 確実に安全です!」
視聴者の心配は、今のレインには届かない。
「これが今回の特別企画! ゴロゴロ山からの雷実況です!」
まさにその瞬間――、天が眩しく光る。
ビカッ! バリバリバリー!!
山頂に光の帯が激しく叩きつけられ、天地を揺るがす雷鳴が響き渡った。
ドカーン!!
強烈な一撃が、山全体をグラグラと揺らす。
あまりの衝撃に、その場に固まってしまうレイン。
口をぽかんと開けたまま動けない。
「……」
「……」
「……」
三人とも、しばらく言葉を失って立ち尽くす。
アイリスは、カメラのマイクでも拾えないような小さな声でつぶやく。
「……ヤバくない?」
「……」
あまりの恐怖に、レインは返事ができない。
すぐ近くに落ちた雷……。
二発目、三発目の落雷も近づいてくる。
ゴロゴロ……。
ゴロゴロ……。
ここでカメラマンのナイトが、沈黙を嫌うように声をかける。
「ほらっ! 喋って!」
レインは、ハッと我に返った。
「失礼しましたっ!」
慌てて作り笑いの表情でカメラへ向き直る。
視聴者たちが引いてしまう……なんて心配は無用だった。むしろコメント欄は、レインの命がけの顔芸に大盛り上がりだ。
『顔! 顔が引きつってる!!』
『作り笑いがとてもお上手です』
『いいから逃げろって!!』
『後ろ! 後ろの雲ヤバい!!』
……しかし、そんな視聴者とのやり取りの最中にも、雷雲は着実に近づいてくる。
ゴロゴロ……。
レインは少し落ち着きを取り戻し、少し離れた場所にある避雷針に歩み寄る。
避雷針をぐっと掴み、力任せに引き抜いた。
ナイトは乾いた笑いを漏らしながら小さくつぶやく。
「……マジかよ。抜きやがった」
アイリスもこの世の終わりという表情で目を疑う。
「正気なのかしら……」
そんな相方たちのドン引きを完全に無視して、レインはカメラの前へと戻ってきた。
パッと表情を明るく輝かせ、自信満々にその金属の棒を掲げる。
「皆さん! 今回、絶対に安全な理由はこちらです!」
レインは自信満々に説明する。
「この避雷針があるんでねっ! 雷は全部これに落ちます!」
「なるほど! だったら安心ですね!」
アイリスももうどうにでもなれといった表情で納得したフリをする。
そう、カメラの前ではアイリスは役者なのだ。
「大丈夫っ! しっかり準備してるからねっ!」
レインも嬉しそうに頷く。こちらは演技というよりも素の行動だ。役者には遠く及ばない。
『レインさん 避雷針を手に持ってんだけど、意味なくない?』
『離して使うものでは?』
『避雷針持ってドヤ顔やめてっ!』
ナイトは悪い予感を感じながらつぶやく。
「大丈夫なわけがない……」
ゴロゴロ……。
ビカッ!!
――空が一瞬、真っ白になる――
目を開けていられないほどの巨大な閃光が、山頂を包み込んだ。
「わはっ!?」
「え?」
「うわっ!」
三人の声が重なる!
次の瞬間――。
ドカーン!!
凄まじい雷鳴が響き渡る。
しかし……残念ながら雷は避雷針には落ちていない。
なんとその巨大な雷は――レインたちに落ちたのだ。
「ウギャー!!」
「キャー!!」
「うわぁー!!」
◇
ホミラタウンの中央の広場――。
魔法通信が途切れ映像と音声がブツッと途絶える。
画面は真っ暗になり、配信終了だ。
広場の大画面を見ていた人々は――。
ザワ……ザワ……とザワついている。
「今の雷……」
「大丈夫なのか?」
「レインさんたちは!?」
「直撃してたよな?」
コメント欄にも、心配する声が流れ続けている。
『誰か確認して!』
『無事でいて!』
『避雷針を雷雲に掲げるとかダメだろ?』
『無茶しやがって……』
……当然ながら、レインたちからの返事はない。
街の広場の大画面は真っ暗のままだった――。
読んでくれてありがとうございます!
この作品は不定期で投稿してます。




