【改稿】第2回「ゴロゴロ山」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
レインたち三人は、とある山の頂上に来ている。
視聴者から雷の生配信をしたら面白いのではというステキなアドバイスをもらい、早速実行に移したようだ。
その山の名前は――ゴロゴロ山。
いつもゴロゴロと空が唸っていることから、その名がついたと言われている。
上空の分厚いカミナリ雲はどこまでも続き……。
時折、雲のスキマから雷光が漏れ出す。
神秘的ではあるが、普通に怖い。
ゴロゴロ……。
レインは頂上から感心した様子でグルリと周りを見渡す。
「すごいね……いつも雷が鳴ってるんだぁ!」
「だからゴロゴロ山って言うのよ」
パンッとほっぺたを叩いて気合を入れるレイン。
「よしっ! それじゃあ準備開始!」
アイリスは道具袋の中から一本の棒を取り出す。
長さ1メートルくらいの金属製の棒だ。
「ナイト、お願い! これを頂上に刺して」
手渡された棒を、不思議そうに眺めるナイト。
「ん? なんだコレ?」
アイリスから詳しい説明が入る。
「これは避雷針よ。雷を誘導するための道具ね」
「あぁ、避雷針か、なるほどな」
アイリスの言葉を聞き、謎の自信を見せるレイン。
「いいね! これさえあれば雷の直撃はないよねっ!」
ナイトから冷静で的確なツッコミが入る。
「いや……絶対はないだろ?」
一瞬にして気まずい空気が流れ始めた。
「……」
「……」
「……」
「ハッハッハ!」
緊張感に耐えかねて、ナイトは思わず吹き出してしまった。
「あはー! 絶対はないよねー!」
レインもまた、場の空気を吹き飛ばすように大きな声を上げる。
アイリスは呆れた表情を浮かべつつ、強く念を押す。
「靴底のゴムカバー、ちゃんとしておいてよ? 本当は危ないんだからね」
「分かってるって!」
心配症なアイリスに、元気よく返すレイン。
「もちろんだ、安全第一だからな!」
ナイトもまた、当に然りといった表情で頷いた。
着々と安全対策と配信の準備が進められていく。
そろそろ、配信開始の時刻――。
◇
ホミラタウンの中央広場――。
中央広場には、魔法通信用の大画面がある。
レインたちの配信を見ようと、視聴者たちが集まり始める。
大画面の中央に二人の姿が映し出された。
山頂に堂々と立つレインとアイリスの姿だ。
「皆さん! おはようございます! 天気予報のお時間です!」
朝から元気な明るい声が、画面から聞こえてくる。視聴者の早起きの眠気も飛んでいきそうだ。
隣にはサポート役のアイリス――。
手元の資料を確認しながら進行する。
「本日は特別編ですわ。ゴロゴロ山から、各地の天気をお伝えしますね」
『本当に山頂から配信してんじゃん!』
『雷の音がリアルでやばい!』
『おいおい、危なくないのかよ?』
心配してくれる視聴者に、レインは自信満々なドヤ顔を向けた。
「全然大丈夫だよっ! しっかり準備してるからさっ!」
◇
一方、ゴロゴロ山の山頂――。
魔導カメラを肩に担いで撮影するナイト。
レインとアイリスの決意に満ちた表情を捉える。
「映像、問題なし!」
上空に広がる巨大なカミナリ雲――。
ナイトはカメラのレンズを上空に向ける。
「この迫力……絶対に届けるぞ」
カミナリ雲の威圧感というのは凄まじいものがある。正直に言ってかなり怖い。
幾重にも重なりあったカミナリ雲。
青白い閃光が激しく走り抜ける。
ビカッ! ゴロゴロ!
山全体が震えあがり、強烈な雷鳴が轟く。
初めてみる光景に、一瞬で心を奪われるレイン。
「わぁ……! すごい迫力だぁ!」
◇
カミナリ雲のさらに上空――。
ナニモノかが眼下の三人を見下ろしている。少しイラついていて、不機嫌な表情だ。
『……』
そのナニモノかは、レインたちの果敢で無謀な雷実況を、なにやってんだコイツラといった冷めた目で観察している。
『本当に山頂で雷の実況をしているのか?』
『命知らずな人間だ』
そこからだった――。
カミナリ雲全体が、これまでとは明らかに違う様相を見せ始める。
世界がひっくり返るほどの勢いで、轟音と閃光が降り注ごうとしている。
ゴロゴロゴロゴロ……!!
まさに、女神の不興を買ったかのように――。
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