【改稿】第1回「天気予報のお時間です」
ホミラタウンの朝――。
空は雲ひとつない快晴で、本当に気持ちのいい朝だ。
街の中心に位置する大きな広場。
そこには、ひと際目を引く巨大な魔法通信の画面が設置されている。
その画面に映し出されているのは、二人の女性――。
まだ初々しさが残る、レインとアイリスだ。
「皆さん、おはようございます! 今日の天気予報のお時間です!」
レインは元気いっぱいに手を振る。隣に立つアイリスも、それに合わせてにこやかに頭を下げる。
「今朝は少し冷え込みましたわ」
「うん、ベッドから出るのが大変だったよ」
画面の中で繰り広げられる、ほのぼのとしたトーク。台本をそのまま読んでいるような棒読み感が初々しい。
画面の隅っこに目をやると、今この配信を見ている人数が表示されている。
現在の視聴者数は、わずか十二人――。
お世辞にも多いとは言えない数字だ。
それでも、視聴者からの温かい言葉が流れてくる。
『今日も観にきたよ』
『二人ともがんばれ』
『いつも朝の天気助かってます』
「わあ……! みんな、コメントありがとう!」
レインはコメントを目にすると、嬉しそうに笑う。
「みんなの心を晴れにする! そんなお天気番組を目指して、今日も一日がんばります!」
画面の中の二人は笑顔で手を振り、朝の配信を終えた。
◇
レインの自宅の一室――。
もともとは古い倉庫だったが、今では自分たちの配信スタジオとして使用している。
「……三枚かぁ」
レインはしょぼくれた表情で銅貨をじっと見つめ、ガックリと肩を落とす。
「まだ始めたばかり、こんなもんよ……」
アイリスは慰めるが、レインは納得できない様子だ。
「もっとたくさんの人に見てもらいたい! 世界中の人に、あたしたちの天気予報を届けたい!」
少し興奮気味に語るレインに、アイリスが宥めるように言葉を続ける。
「まずは世の中に、私たちのことを知ってもらわないとね」
撮影担当のナイトも、カメラを整備しながら口を開く。
「焦る必要はないさ。今は十二人でも、俺たちを応援してくれる人がいる」
ピコン!
魔法通信端末にひとつのコメントが届く。
『山の頂上で雷の実況をしたら、面白いんじゃない?』
「山の頂上で、雷の実況……?」
レインはコメントを読み返す。
「いいねっ! 次の配信は、山の頂上から雷の実況だぁ!」
レインの瞳がキラキラと輝き始める。
「マジかよ……」
カメラのレンズを拭いていたナイトの手が止まった。嫌な予感に頭が痛くなってくる。
「山に登るのって、準備が大変なのよね……」
隣のアイリスも、行きたくないという雰囲気を表情に出しながら、ため息をもらす。
こうして、ヤル気がある一人と、乗り気でない二人は、次の配信に向けて動き始めるのだった――。




