【改稿】第0回「プロローグ」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
火山が噴火した――。
ドカーン!
大きな音とともに、山頂から炎が噴き上がる。
大量の黒煙が空を覆っていく。
この異常現象の原因は――火山の魔王だ。
高さはおよそ5メートルほどだろうか。かなり大きい。身体からは激しい炎が噴き出ていて、そばにいるだけで熱い。
まさに災害級の魔王と言っていいだろう。
そんな恐ろしい魔王に立ち向かうのは、三人の配信者。
――レイン、アイリス、そしてナイトだ。
「うわぁ……かなり厄介な魔王だなぁ」
レインは神ナリの剣を握り構えて、目の前の魔王を困惑の表情で睨んでいる。
グォォォー!
火山の魔王が大きく吠える。
魔王の咆哮を合図に、周辺の山々も応え始める。
ドカーン! ドカーン!
山頂から炎が噴き上がる。
ドンッ! ドンッ!
大玉スイカほどの大きな石が降り注ぐ。
「レイン! 急いだほうがいいわ!」
アイリスは、女神の杖をバットのように振り回し、石から身を守っている。
「分かった!」
レインはクワッと目を見開くと、魔王に向かって走り出す。
地面を見ると溶岩が流れている。空からは石が降ってくる。それらをスイスイとかわしながら、レインは魔王へと向かっていく。
レインが握る神ナリの剣――。
青白い雷光が集まり、神々しく輝いていた。
魔力チャージは満タンだ。
「魔王予報士レイン!」
レインは名乗りを上げ、神ナリの剣を頭上に構える。上段の構えは、非常に攻撃的だ。相打ちは覚悟の上という強い気持ちの表れである。
レインはその構えのまま、魔王との距離を一気に詰める。
「神ナリ一閃ッ!」
ズバババーッ!
青白い雷光をまとった剣が振り下ろされ、火山の魔王を一刀両断――。
グギャァァァー!
魔王の断末魔が山々に響き渡る。
魔王は紫色の煙となって消滅――。
そして、コロンと地面に転がる紫色の魔石。
これで魔王の討伐は完了だ――。
あれほど激しかった噴火も、パタリと沈黙する。
降っていた石も、地面の揺れも収まっていく。
火山の魔王が倒されたことで、周辺の異常現象もピタリと止まった。
レインは女神のカメラに向かって、カラリと晴れ渡るような笑顔を見せる。
「火山の魔王、消滅しましたっ!」
配信のコメント欄は、画面いっぱいに流れていく。
『討伐きたー!』
『すげえええ!』
『火山止まった!』
『レインちゃん、お疲れ!』
『今日も神ナリ一閃!』
そんな労いのコメントを見たレインは、満面の笑みを浮かべた。
「みんな、応援ありがとう!」
◇
夜――。
魔王との激しい戦いを終えた三人は、そのまま山の中でキャンプをしている。
焚き火のそばに座る三人――。
「……ふぅ」
レインは安堵のため息をつく。
「戦いが時化なら、今は凪……」
レインは今の格好良かったでしょと言わんばかりの全開のドヤ顔を見せる。
「……ごめん、ちょっと言ってる意味が分からない」
アイリスは解せぬといった表情でボソリと呟いた。
パチパチと薪が爆ぜる音だけが響く。
どうやら、拍手をしてくれるのは、焚き火だけのようだ。
とは言え、魔王を倒した功労者だ……。
アイリスはレインに労いの言葉をかける。
「今日は大変だったわね」
「うん。でもこれで皆、安心して眠れるよね」
レインはコーヒーを一口飲みながらふふっと笑って応える。
焚き火の明かりが、三人の顔を暖かく照らしている――。
ふと、レインが夜空を見上げた。
さっきまで空を覆っていた黒い煙は、もう見当たらない。星も綺麗に見えている。
パチンッと薪がはぜる音が響く――。
魔王が降臨すれば、三人は戦う。
もちろん、その前にはいつも通り魔王予報の配信で人々に避難を呼びかける。
きっとこれからも、こんな日々が続いていく――。
焚き火の炎が静かに揺れる中、三人の楽しげな笑い声が、夜の静けさに溶けていった。
「明日は――良い天気になりそうだな」
◇◇◇
――しかし、レインたち三人は、最初から魔王予報士だったわけではない。
レインはどうやって魔王予報士になったのか。
そして、どんな活躍をしてきたのか。
少し時間をさかのぼってみる。
レインが魔王予報士として活動を始めたばかりの頃へ――。




