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魔王予報のお時間です〜午前中は魔王が暴れるでしょう。午後には討伐され絶好のスローライフ日和になるでしょう〜  作者: さば味リン
1章 起

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第34回「ユノハナタウン町長の判断」

※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。

――ユノハナタウン。

豊かな温泉と美しい景色で知られる、観光の街。


これまで多くの旅人が訪れ、温泉を楽しみ、街の景色を眺め、旅の思い出を作ってきた。


しかし――。

今、その街には重苦しい空気が流れていた。


レインの魔王予報。

降臨確率、60%――。


その知らせは、すでに街中へ広がっていた。


旅館では、予約のキャンセルが相次いでいる。

商店街も、普段より明らかに人通りが少ない。


「魔王が来る街なんて行けないよ」

そんな声が、あちこちから聞こえていた。


それは……レインの魔王予報を信じているからこそ……。

魔王予報を聞く事で、早めに街を離れる者もいる。


だが――。

一方では、疑う声も増え始めていた。

「サンドタウンは外れたじゃないか」

「今回も大丈夫だろ」

「配信者の話を信じるなんてな」

「60%って言っても、来ない可能性はあるんだろ?」


そんな噂が広がるにつれて、別の人々も街へ集まってきた。

そして、魔王予報を話題に便乗する配信者たち。


「ユノハナタウンから緊急配信です!」

「本当に魔王が来るのでしょうか!」


街の不安そのものが、一つの話題になり始めていた。


――ユノハナタウン役場。


町長は机の前で頭を抱えていた。

机の上には、街の被害状況や宿泊施設からの報告が並んでいる。


観光客の減少。

予約のキャンセル。

商店への影響。


そして――。

魔王予報。


副町長が静かに尋ねる。

「王都へ騎士団を要請しますか?」


町長は目を閉じた。

「……」


これまで、この街に魔王が現れたことはない。

誰一人として、魔王を見たこともない。


そんな街に、大軍を呼ぶ。


それだけでも、住民や観光客の不安をさらに煽ることになる。


そして、もし魔王が現れなかったら――。


街への影響は、さらに大きくなるかもしれない。

観光の街であるユノハナタウンにとって、その影響は計り知れなかった。


町長は、しばらく考え込んでいた。

やがて、ゆっくりと顔を上げる。

「……騎士団は呼ばない」


副町長が驚いた表情を見せる。

「よろしいのですか?」


町長は静かに頷いた。

「王国騎士団が動いたサンドタウンにも、魔王は現れなかった」


そして、窓の外へ視線を向ける。

「今回も、外れる可能性はある」


副町長は黙って聞いている。


町長は続けた。

「街の混乱を、これ以上広げるわけにはいかない」


それは、街を守るための判断でもあった。


魔王が来るかもしれない。

しかし、来ないかもしれない。


そんな不確かな情報だけで街を大きく動かしていいのか。

町長自身にも、答えは出せなかった。


副町長は複雑な表情で頷く。

「……承知しました」


町長は再び窓の外を見る。

そこには、いつもと変わらないユノハナタウンの景色が広がっている。


湯けむりが立ち上る温泉街。

美しい山々。

そして、静かに歩く人々。


町長は、小さく呟いた。

「……すまない」


誰に向けた言葉なのか。

自分自身にも分からない。


「私は、レインという予報士の『才』を、まだ信じ切ることができない」


魔王予報――その力が本物なのか。

サンドタウンの予報が外れた今となっては、なおさら判断が難しかった。


町長の決断は下された。

騎士団は呼ばない。


街は、普段通りの日常を続ける。


ただし――。

その決断が、数日後にどのような結果を招くのか。

まだ、誰も知らなかった。

読んでくれてありがとうございます!

この作品は不定期で投稿してます。


※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。

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