第27回「出発する」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
朝の配信を終えたレインたちは、旅支度を整えていた。
次の目的地は――ユノハナタウン。
温泉で有名な街だ。
一週間後に魔王が降臨する可能性がある。
その予報を受け、三人は現地へ向かうことにした。
荷物をまとめ、乗合馬車へ乗り込む。
三人が席に腰を下ろすと、馬車はゆっくりと走り始めた。
窓の外を、ホミラタウンの街並みが流れていく。
レインは膝の上に地図を広げ、ユノハナタウンまでの道のりを確認していた。
「魔王予報では、一週間後に降臨の可能性だね」
ナイトも地図を覗き込む。
「このまま順調なら、二日前くらいには着くな」
アイリスも残りの日数を確認した。
「それなら、時間にはかなり余裕があるわね」
その言葉を聞いた瞬間――。
レインの顔が、ぱっと明るくなった。
どうやら、何かを思いついたらしい。
「よーし!」
勢いよく立ち上がる。
「温泉に入って!」
「魔王倒して!」
「毎日、お食事とお泊まり!」
完全に旅行気分だった。
ナイトが、すかさず突っ込む。
「そんな金ないぞ?」
「えーっ!」
レインの肩が、がくりと落ちた。
アイリスも苦笑する。
「温泉は入りましょう」
レインが顔を上げる。
アイリスは少し考えてから、続けた。
「でも、お食事とお泊まりを毎日は……さすがに無理かなぁ」
「そっかぁ……残念……」
レインはしょんぼりと座席へ戻った。
そんなレインを見て、ナイトが笑う。
「キャンプには慣れてるだろ?」
「それはそうなんだけどさぁ……」
レインは窓の外を眺めながら、頬を膨らませる。
すると――。
アイリスが、そんなレインへ小さな提案をした。
「討伐が終わったら、ご褒美として考えてもいいわよ」
「ほんと!?」
レインの表情が、一瞬で明るくなる。
アイリスは微笑んだ。
「ええ」
ナイトも頷く。
「一日くらいなら、財布も泣かない」
「やったー!」
レインが両手を上げる。
馬車の中に、三人の笑い声が響いた。
やがて馬車は街を離れ、街道を進んでいく。
車窓の景色も少しずつ変わり始めていた。
レインたちは、まだ知らない……。
今回の旅が、魔王予報士としての覚悟を試される旅になることを。
読んでくれてありがとうございます!
この作品は不定期で投稿してます。
※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




