第26回「新しい魔王予報」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
朝――。
ホミラタウンには、今日も穏やかな空気が流れていた。
女神のカメラが起動し、魔法通信を通じて世界へ映像が届けられる。
「配信、開始!」
ナイトの渋い声とともに、朝の配信が始まった。
「皆さん、おはようございます!」
「おはようございます!」
レインとアイリスが笑顔で挨拶する。
レインはいつものように天気図を広げた。
「今日の天気予報のお時間です!」
画面に今日の天気図が映し出される。
「本日は全国的に晴れでしょう!」
朝から明るい声が響く。
「午後から少し風が強くなる地域がありますので、お洗濯物にはご注意ください!」
アイリスも天気図を確認しながら続ける。
「山沿いでは、夕方から霧が出る場所もありますね」
「お出かけの際は、お気を付けください!」
いつもの天気予報。
穏やかで、平和な朝。
しかし……。
天気予報が終わると、レインの表情が少し変わった。
先ほどまでの明るい笑顔が消え、真剣な眼差しになる。
「そして……」
その一言だけで、コメント欄の空気が変わった。
アイリスもレインの横顔を見る。
「来ましたか」
レインは静かに頷いた。
「次の魔王予報を感じました」
その瞬間……。
コメント欄が一気に流れ始める。
『来た!』
『魔王予報だ!』
『今回はどこ!?』
レインは天気図を片付け、代わりに大きな地図を広げた。
そして、ある場所を指差す。
「場所は――ユノハナタウン」
「温泉街ですね」
アイリスが地図を覗き込む。
ユノハナタウン――。
温泉が湧き出ることで知られる、観光客にも人気の街だった。
だが、そこに魔王が現れる可能性がある。
レインは落ち着いた声で続ける。
「魔王の降臨確率は、60パーセントです」
「まだ確定ではありませんが、十分に警戒が必要ですね」
アイリスの言葉に、レインも頷く。
そして、さらに予報を伝える。
「一週間後に降臨する可能性があります」
コメント欄が再び激しく流れ始めた。
『ユノハナタウン!?』
『親戚が住んでる!』
『旅行の予定なんだけど!』
『避難の準備をした方がいいかな?』
突然の魔王予報……。
しかも今回は、観光客も多い温泉街だ。
不安になるのも無理はない。
レインはコメント欄を見ながら、落ち着いた口調で話した。
「予報は、未来を決めるものではありません」
一度、言葉を区切る。
「未来に備えるためのものです」
アイリスも穏やかに続ける。
「慌てず、正しい情報を確認してください」
「詳しい情報が分かり次第、臨時配信でお知らせします!」
レインは最後に笑顔を見せた。
「それでは、今日も良い一日を!」
「またお会いしましょう!」
二人が手を振る。
ナイトがカメラを操作すると、配信画面が静かに消えた。
◇
――その頃、ユノハナタウン……。
温泉街の広場では、魔法通信の画面を見ていた人々がざわめいていた。
「魔王予報だって……」
「しかも、この街?」
「一週間後……」
温泉から立ち上る湯気。
行き交う観光客。
店先に並ぶ土産物。
いつもと変わらない穏やかな温泉街。
しかし、今はもう違った……。
街のあちこちで、人々が魔法通信端末の画面を見つめている。
やがて――。
穏やかな温泉街に、静かな緊張が走った。
世界で唯一の「魔王予報」は、再び人々の運命を動かし始めていた。
読んでくれてありがとうございます!
この作品は不定期で投稿してます。
※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




