第25回「魔王魔石の調査」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
ホミラタウンの配信者ギルド――。
その地下にある、厳重な保管庫。
昨日預けられた魔王1号の魔石は、専用のケースに収められ、大切に管理されていた。
魔王の魔石……。
それは、普通の魔石とは比べものにならないほど貴重なものだった。
次の日の朝――。
レインたちは配信ギルドへ立ち寄り、受付へ向かった。
「おはようございまーす!」
「おはようございます、レインさん」
いつものように笑顔で迎えてくれた受付嬢だったが……。
今日は、どこか困ったような表情を浮かべていた。
レインが首を傾げる。
「どうかしたんですか?」
「実は……」
受付嬢は少し言いにくそうにしながら、魔法端末を確認する。
「王国から、魔王の魔石について正式な問い合わせが来ています」
「王国から?」
アイリスが驚く。
ナイトは腕を組み、静かに頷いた。
「調査か」
「はい」
受付嬢は端末に表示された内容を確認しながら説明する。
「王立研究所が、魔王の魔石を調査したいそうです」
レインは目を丸くした。
「そんなに珍しい物なの?」
「魔王の魔石は、極めて貴重です」
受付嬢によれば、魔王の魔石についての記録そのものは残っている。
しかし……。
現在、魔王の魔石はこの世に残っていない――。
「だから研究したいのね」
アイリスが納得したように頷く。
受付嬢も頷き返した。
「はい。王立研究所としても、ぜひ調査したいとのことです」
だが、ここで一つ問題があった……。
受付嬢は魔法端末を操作しながら、慎重に言葉を続ける。
「ですが、この魔石は現在、配信者ギルドの管理下にあります」
「所有者は、レインさんです」
配信者ギルドは、世界中立の公的機関。
そのため、所有者の許可なく、第三者へ魔石を渡すことはできない。
「なるほどー!」
レインが頷く。
ナイトも感心したように呟いた。
「ちゃんとルールがあるんだな」
「はい」
受付嬢は続ける。
「そのため、王国には『所有者へ確認する』と回答しております」
アイリスがレインを見る。
「どうする?」
レインは腕を組み、しばらく考えた。
ギルド内に、静かな時間が流れる。
やがて……。
レインの表情が明るくなった。
「世界の役に立つなら、調べてもらうのは賛成!」
「私も、それがいいと思うわ」
アイリスが頷く。
ナイトも納得したように頷く。
「俺も異論はない」
受付嬢はほっとしたように微笑んだ。
「ありがとうございます」
ところが、レインは人差し指を立てる。
「でも!」
受付嬢が少し驚いてレインを見る。
レインは真剣な顔で続けた。
「プレゼント企画は約束したからね!」
昨日、配信で視聴者に約束した。
魔王1号の魔石を、抽選で一人にプレゼントする。
その約束だけは、絶対に守らなければならない。
「抽選が終わるまでは貸せません!」
受付嬢は、くすっと笑った。
「承知しました」
そして魔法端末へ向き直る。
「そのように王国へお伝えいたします」
ナイトも笑いながら頷いた。
「約束は守る。レインらしいな」
「配信者だからね!」
レインは少し照れながら胸を張った。
受付嬢はそのまま魔法端末へ正式な回答を入力していく。
――『プレゼント企画終了後、所有者の同意のもと調査協力可能』
入力された文面が確認されると、王国へ向けて正式な回答が送信された。
魔法通信によって、情報は瞬く間に王都へと届けられていく。
その頃、保管庫では――。
専用ケースの中で、紫色の魔石が静かに輝いていた。
魔王1号の魔石。
それはもう、単なるプレゼントではない。
世界中が注目する、貴重な研究対象となり始めていた。
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