第23回「帰ってきた街」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
レインたちを乗せた乗合馬車は、ゆっくりと街へ入っていく。
そこは、レインたちが暮らす街。
ホミラタウン――。
大きな湖に面した、美しい水辺の街だった。
湖では釣りを楽しむ人々が並び、港では小舟が行き交っている。
街を歩く人々の表情も穏やかだ。
魔王が現れた森から戻ってきたばかりの三人にとって、その見慣れた景色はどこか懐かしく感じられた。
レインは大きく伸びをする。
「帰ってきたー!」
その声に、アイリスも街並みを見渡した。
「やっぱり落ち着きますね」
ナイトも周囲を眺めながら頷く。
「我が家が一番だな」
三人は馬車を降りると、いつもの街並みを歩き始めた。
湖から吹いてくる風が心地よい。
レインは歩きながら、バッグの中へ手を入れた。
取り出したのは、昨日討伐した魔王1号の魔石。
紫色の魔石は、昼の光の中でも静かに輝いている。
レインはそれを眺めながら言った。
「この魔石は、配信ギルドに預ける!」
アイリスも賛成する。
「いいんじゃない?」
そして、プレゼント企画のことを思い出す。
「応募の管理もしてくれそうだし」
ナイトが魔石を見ながら尋ねた。
「誰にやるか決めてるのか?」
「そこは公平に、くじ引きかなぁ」
レインが答える。
公平な抽選。
その言葉を聞いたアイリスは、少し考えた。
そして――。
にやりと笑う。
「私も登録してコメントしたら、チャンスあるの?」
レインは一瞬も迷わなかった。
「ないねぇ?」
「公平とは?」
アイリスが真顔で返す。
その隣で、ナイトが思わず吹き出した。
「ハッハッハ!」
「身内はダメだよ!」
レインも笑いながら答える。
アイリスは少し残念そうに肩を落とした。
「残念」
三人は笑いながら、いつもの街を歩いていく。
魔王1号との戦い。
世界初の魔王討伐配信。
そして、登録者100人突破。
大きな出来事をいくつも経験したばかりだというのに、三人の様子はいつもと変わらない。
やがて、その先に一つの建物が見えてきた。
魔法通信を管理する――。
「配信ギルド」だった。
レインは建物を見上げる。
そして、ぐっと拳を握った。
「よーし!」
その顔には、いつもの元気な笑顔が戻っている。
「プレゼント企画の準備、始めよう!」
三人は配信ギルドへ向かって歩いていく。
魔王討伐を終えても、レインたちの仕事はまだ終わらない。
天気予報。
魔王予報。
そして、配信者としての活動。
世界が少しずつ変わり始めていることを、三人はまだ知らない。
ただ――。
今日もいつも通り。
配信者としての一日が、始まろうとしていた。
読んでくれてありがとうございます!
この作品は不定期で投稿してます。




