↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王予報のお時間です〜午前中は魔王が暴れるでしょう。午後には討伐され絶好のスローライフ日和になるでしょう〜  作者: さば味リン
1章 起

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
22/147

第21回「世界の反応」

※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。

翌朝――。


北東の森……。

レインたちはキャンプを片付け、街へ戻るため乗合馬車へ乗り込んでいた。


昨夜まで焚き火を囲んでいた場所も、今ではすっかり片付いている。


空は雲ひとつない青空だった。


レインは馬車の窓から外を眺める。

「今日はいい天気だね!」


昨日、魔王との激戦があったとは思えないほどの空だった。


アイリスも窓の外へ目を向ける。

「昨日の戦いが嘘みたいね」


ナイトは座席へ身体を預けながら、静かに呟いた。

「平和なのが一番だ」


やがて馬車が動き始める。


蹄の音を響かせながら、乗合馬車はゆっくりと街へ向かって走っていった。


◇


その頃――。

世界各地では、昨日の魔王討伐配信が大きな話題になっていた。


北東の森に近い村では……。

広場に設置された魔法通信を、多くの村人たちが囲んでいる。

画面には、昨日の魔王討伐配信の記録映像が流れていた。


魔王1号が現れた場面。

そして、レインたちが戦った場面。


村人たちは食い入るように画面を見つめていた。


「見たか?」

「ああ!」


興奮した様子で、一人の村人が答える。

「魔王が本当に現れた!」


別の村人も驚いたように続けた。

「しかも、出る前から予報してたぞ!」


村人たちは顔を見合わせる。


魔王が現れる前に知らされていたからこそ、避難することができた人々もいた。


「避難できたのは、あの配信のおかげだ」


その言葉に、周囲の村人たちは静かに頷いた。

不安に満ちていた表情には、少しずつ安堵が戻っていた。


◇


とある街の冒険者ギルドでは……。


ここでも、昨日の配信映像が話題になっていた。

「昨日の配信見たか?」

「ああ、見た見た!」


冒険者たちが酒場や掲示板の前で話している。

「まさか魔王を討伐するとはな」

「しかも現地から生中継だ」


冒険者の一人が感心したように腕を組む。

「すごい時代になったもんだ」


その近くでは、受付嬢も魔法通信の映像を静かに見つめていた。


画面には、魔王1号へ立ち向かう三人の姿が映っている。

受付嬢は、しばらく言葉を失っていた。


◇


とある王都の騎士団本部では……。


一人の騎士が、記録映像を持って隊長のもとへ駆け込んできた。


「隊長!」

勢いよく魔法通信を起動する。

「魔王討伐の記録映像です!」


隊長は何も言わず、画面を見つめた。

そこには、魔王1号と対峙するレインたちが映し出されている。


そして……。

レインが雷をまとった剣を振り抜く。

「神ナリ一閃!!」


映像の中で、凄まじい雷光が走った。

魔王1号の巨体が紫色の煙となって消滅する。


隊長はしばらく黙っていた。

「……」


やがて、静かに口を開く。

「これが事実なら」


部屋にいた騎士たちが隊長を見る。

「世界は変わるぞ」


その言葉とともに、部屋に静かな緊張が走った。


◇


勇者パーティたちは……。


食堂に設置された魔法通信を、勇者たちは見上げていた。


画面には、魔王1号の出現前にレインが予報を行う場面が映っている。


勇者が首を傾げた。

「魔王を予報……?」


隣にいた賢者が、映像を分析するように見つめる。

「偶然では説明できませんね」


聖女も不思議そうな表情を浮かべる。

「この人たち、何者なんでしょう」


勇者はしばらく映像を見つめていた。


そして、ふっと微笑む。

「会ってみたいな」


仲間たちも顔を見合わせ、静かに頷いた。


◇


そして……。

レインたちの魔法通信チャンネル。


そこでは、ある数字がゆっくりと増え始めていた。


20人 → 35人 → 50人

 → 70人 → 100人。


登録者数は、その後も少しずつ増え続けている。


昨日まで、ほんの少しずつ増えていく数字を喜んでいた小さなチャンネル。


それが今――。

世界中から注目を集め始めていた。


しかし。

当の本人たちは、そのことをまだ知らない。


◇


乗合馬車では……。


レインは窓の外を眺めながら、のんびりと呟いた。

「次はどんな魔王かなぁ」


すると、すぐ隣から声が返ってくる。


「その前に朝ご飯です」

アイリスだった。


レインは振り向く。

「そうだった!」


ナイトは座席に身体を預けたまま、ぼそりと言う。

「俺はフカフカのベッドで寝たい」


レインは即座に頷いた。

「賛成!」


アイリスも笑う。

「まずはゆっくり休みましょう」


三人は顔を見合わせた。


そして――。

「ハッハッハ!」

また三人で笑った。


馬車は朝日に照らされた街道を走っていく。

その先には、いつもと変わらない街の日常が待っている。


けれど……。

世界は、すでに静かに変わり始めていた。


魔王の出現を予報した三人。

魔王を討伐した三人。

そして、その瞬間を世界へ届けた三人。


その中心にいるレインたちは――。

まだ、自分たちの身に起きている大きな変化に気づいていなかった。

読んでくれてありがとうございます!

この作品は不定期で投稿してます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。