↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王予報のお時間です〜午前中は魔王が暴れるでしょう。午後には討伐され絶好のスローライフ日和になるでしょう〜  作者: さば味リン
1章 起

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
19/147

【改稿】第18回「神ナリ一閃」

※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。

北東の森――。


魔王1号は大きく身体を震わせ、大きな咆哮を上げた。


グワァァァーッ!


次の瞬間、魔王1号が右腕を大きく振り上げる。


ゴォォォォッ!!


腕の周囲に燃え盛る炎が渦を巻く。


「おい! ウソだろっ!」


ナイトの叫びを置き去りに、巨大な炎の塊が一直線に放たれる!


「ナイト! もう少し頑張って!」

レインは思わず叫んだ。


目前まで迫る猛火――。


「これは、頑張ってどうこうの話では……」


どうしていいか分からない――その時だった!


アイリスが杖を掲げる。


「ウォーターボール!」


杖の先から放たれた巨大な水球が、一直線に飛んでいく!


ドォン!!


炎と水が正面から激突!


ジュワァァァッ!!


大量の水蒸気が一気に立ち込め、森の景色を真っ白に染め上げた。

ナイトはその光景の只中で、女神のカメラを構え続けている。


「いいぞ!」

素早く手元の画面を確認。


「バッチリな画角だっ!」


「そこ!?」

アイリスが思わず突っ込んだ。


ナイトはどこまでも真剣な表情だ。

「最高の映像を届けるのが、配信者の仕事だからな!」


死線の中でも、撮影者としてのこだわりだけは一切ぶれない。


配信画面には、視聴者からのコメントが次々と流れていく。


『カメラマンさん余裕ある!?』

『いや死んでたぞ絶対!』


『ウォーターボールなかったら詰んでただろ!』

『さすがアイリスさま!』


『魔王の炎を完封したぁ!』

『ナイス連携!』


『頑張れー!』

『いけるぞ、反撃だ!!』


その間も――。

レインは魔王1号から一瞬たりとも目を離さず、静かに神ナリの剣へ魔力を注ぎ続けていた。


青白い雷が刀身を包み込む。


バチバチバチッ!


雷光は刻一刻と激しさを増していく。


やがて――、レインがすっと目を開いた。

「……あっ!」


その声に、ナイトとアイリスがバ(・)ッ(・)と振り向く。


「ナイト! アイリス! 準備できた!」

レインは二人へ声を張る。


「分かった! 後は頼むっ!」


ナイトは素早く立ち位置を変え、カメラをレインへと向ける。


アイリスも杖を構え直し、最後の支援魔法を解き放つ。


「身体強化(パワーアップ)!」


柔らかな光が、レインの身体を包み込む。


「気を付けてよ!」

アイリスが叫ぶ。


レインは大きく頷くと、荒ぶる雷を纏った剣を上段に構える。


「よし! チャージ完了!」

全身に圧倒的な力が満ちていく。


レインは真っ直ぐに魔王1号を見据えた。

「行くよっ!」


その声に呼応するように、魔王1号が再び吠える!


グワァァァーッ!


魔王1号が地響きを立てて踏み込む。


同時に、レインも一気に地面を蹴った!


ダンッ!!


弾けるように前へ飛び出す。


まるで一(・)筋(・)の(・)雷(・)のような速度で、魔王1号との距離を瞬時に詰めていく。


配信画面には、その躍動する姿が鮮明に映し出されていた。


『速いっ!!』

『行けぇぇぇ!!』


『光の速さでダッシュしてるんだが!?』

『人間が出していい速度じゃない!!』


『雷の残像残っててヤバい!!』

『追えてるカメラマン何者だよ』


雷光のような速度で、レインは魔王1号の目の前へと躍り出る――。


そして――、一瞬、世界から音が消えた。


風の音も。

巨大な魔王1号も。

画面越しに息を呑む視聴者たちも。


すべてが、その一瞬に引き込まれていく。


レインの名乗りが、静寂を突き破った。


「魔王予報士――レイン!!」


刀身へ、眩いばかりの雷光が集束していく!


次の瞬間――。


「神ナリ一閃ッ!!」


ズバァァァァッ!!


神の雷を宿した必殺の一閃が、魔王1号の巨体を真っ二つに切り裂いた!


グ……ワァ……


魔王1号が苦しげな咆哮を上げる。


その巨体はゆっくりと傾き、やがて崩れていく。


魔王1号の身体は、紫色の煙へと変化していく――。


シュゥゥゥ……。


巨大な身体が、嘘のように煙となって風に消えていく。


そして、最後に――。


コロン……。


地面へと、大きな紫色の魔石がひとつ、転がり落ちた。


森に、静寂が戻る――。


レインは深く息を吐きながら、ゆっくりと剣を鞘へと納めた。


そして、カメラへ向かってとびきりの笑顔を咲かせる。


「皆さん!」


レインは胸を張って、ブイサインを見せる。


「魔王1号――消滅しましたっ!」


直後――!


配信画面が歓喜のコメントで埋め尽くされる!


『うおおおお勝ったあぁぁぁ!!』

『マジで倒したァァァ!!』


『一瞬で切り裂いた……!?』

『威力が実におかしい!!』


『神回決定!』

『魔王予報、本物だった!』


『また絶対見に来ます!!』

『伝説の配信になっちまったな……』


怒涛のコメントを見つめ、レインは気恥ずかしそうに鼻を擦る。


「……えへへ」


アイリスも緊張の糸が切れたように、ほっと胸をなでおろした。


「本当に……終わったのね」


レインは静けさを取り戻した森を見渡す。

先ほどまで暴れていた魔王の姿は、もうどこにもない。


ただ――大きな紫色の魔石だけが、ポツンと地面に残されていた。


木々の間を、心地よい風が通り抜けていく。


レインは小さく息を吐いた。


「……終わったぁ」


ナイトはカメラを二人に向け、静かに頷く。

「初めての魔王討伐。大成功だな」


レインとアイリスは顔を見合わせる。


そして――二人同時に、吹き出すように笑い合った。


こうして――。


世界で初めての魔王討伐は、静かな森の中で見事に幕を閉じたのだった。

読んでくれてありがとうございます!

この作品は不定期で投稿してます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。