第137回「稲刈りって大変」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
コメライス村――。
黄金色に実った稲穂を朝日が照らしている。 風が吹くたび一斉に揺れていた。
その田んぼの中で、レインは鎌を握っている。
今日は、待ちに待った稲刈りだ。
「よし……! 頑張るぞ!」
ナイトが女神のカメラを構える。
『コメライス村、稲刈り配信!』
配信画面には、さっそくコメントが流れ始めた。
『稲穂が黄金色になってる!』
『ついに稲刈りか!』
『収穫の瞬間、楽しみ!』
レインの隣では、コシヒコが稲刈りの手本を見せている。
「まずは稲を束ねて……こうやって持つんだ」
コシヒコは稲を片手でまとめる。 そして根元に鎌を入れた。
ザクッ!
稲が綺麗に刈れた。
「おおっ!」
レインが目を輝かせる。
「パパ、すごーい!」
ヒナタも嬉しそうに声を上げた。
コシヒコは刈り取った稲を持ち上げる。
「こうやって、一株ずつ刈っていくんだ」
「なるほど!」
レインも稲を束ねる。
「失礼しまーす……」
鎌を入れる。
ザクッ!
「……刈れた!」
レインが嬉しそうに刈り取った稲を見る。
『レイン、上手!』
『初めてなのに綺麗!』
『見てるだけでも気持ちいいな』
アイリスが微笑んだ。
「上手じゃない」
ナイトも少し意外そうに頷く。
「意外だな」
「意外って何よ!」
レインが振り返る。
ナイトは少し考えてから答えた。
「もっと勢いで全部刈るのかと思った」
「そんなことしないよ!」
レインは少しむっとしながら、次の稲を手に取った。
ザクッ! ザクッ! ザクッ!
レインは黙々と稲を刈っていく。
『レイン、頑張って!』
『思ったより本格的だ』
『稲刈りって大変そう』
しばらくすると、レインの動きが止まった。
ゆっくりと腰を伸ばす。
「……結構、大変だね」
アイリスも稲を刈りながら頷いた。
「結構というか、かなり大変よ」
「うん、ずっと腰を曲げてるんだもん……」
レインは田んぼを見渡した。
村人たちは黙々と稲を刈っている。 刈った稲を運ぶ人。 束ねる人。それぞれが自分の仕事を続けていた。
レインは、改めて村人たちの姿を見る。
「農家の人って、毎年これをやってるんだ……」
コシヒコが頷いた。
「そうだな」
「すごいね」
レインが素直に感心する。
コシヒコは少し笑った。
「まあ、慣れればどうってことない」
「本当に?」
レインが疑わしそうに見る。
コシヒコは少し間を置いた。
「……腰は痛くなるけどな」
「どうってことあるじゃん!」
レインの声が田んぼに響く。
「ふふっ」
アイリスが吹き出した。
『コシヒコさん正直すぎるw』
『やっぱり大変なんだ』
『農作業って体力勝負だな』
すると、ヒナタが元気よく言った。
「でも、楽しいよ!」
レインがヒナタを見る。
「ヒナタちゃんは元気だねぇ」
「だって、お米がいっぱいできたんだもん!」
ヒナタは、自分が刈った稲を嬉しそうに見せる。
まだ少し不揃いだ――。
それでも、一生懸命刈ったことが伝わってくる。
レインは、その稲を見つめ、そして笑った
「……うん、楽しいね!」
「ふふっ」
アイリスも嬉しそうに微笑む。
ナイトがカメラ越しにレインを見る。
「いい顔してるな」
レインは黄金色の田んぼを見渡した。
「だってさ、この一つ一つがみんなで育てたお米なんだよ」
風が吹く――。
黄金色の稲穂が、一斉に揺れた。
コシヒコが頷く。
「そうだな」
『たまにはいいこと言うな、レイン』
『収穫っていいな』
レインは、もう一度鎌を握り直した。
「よーし! 最後までちゃんと頑張るぞっ!」
そして――。
「よーし! もう一回!」
ザクッ!
「もう一回!」
ザクッ!
「もう一回!」
ザクッ!
ナイトが苦笑する。
「急に張り切りだしたな」
「レイン、無理はしないでね」
アイリスも声をかける。
ヒナタが隣に並んだ。
「レインお姉ちゃん、一緒にやろう!」
レインは笑顔で頷いた。
「うん! やろう!」
黄金色の田んぼの中――。
レインとヒナタは、並んで稲を刈っていく。
一株ずつ。 少しずつ。
時間をかけて――。
今年の米を、大切に収穫していった。
読んでくれてありがとうございます!
この作品は不定期で投稿してます。
※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




