第135回「イナズマは稲の妻」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
黄金色の田んぼを見つめるレインたち。
そこへ――。
村人たちが、笑顔で集まってきた。
「レインさん!」
「よく来てくれたな!」
レインが振り返る。
すると、一人の村人が申し訳なさそうに頭を下げた。
「あの時はガッカリしちゃって、本当にごめんなぁ!」
レインは驚いたように目を瞬かせる。
「えっ?」
別の村人が、笑いながら続けた。
「いやぁ、よく分からんが、ものすごく育ったんだ!」
「こんなに立派になるとはなぁ!」
村人たちは、黄金色の田んぼを眺めながら嬉しそうに笑っている。
その隣で、コシヒコも満面の笑みを浮かべていた。
「村の皆はな」
コシヒコは、黄金色の稲穂を見つめる。
「『奇跡の米』って呼んでるな」
「奇跡の米……」
レインは、その言葉を小さく繰り返した。
◇
その後――。
レインたちは、村長の家へ招かれた。
食卓には――。
炊きたてのご飯が並んでいる。
茶碗によそわれた白いご飯。
つやつやと輝き、そこから湯気が立ち上っていた。
「どうぞ、食べてみてください」
コシヒコに勧められ、レインは箸を取る。
そして――。
一口、ゆっくりと口へ運ぶ。
「……」
レインの目が、少しずつ大きくなる。
「……おいしい」
もう一口。
「おいしい……!」
思わず声が弾んだ。
アイリスも笑顔になる。
「よかったわね、レイン」
その瞬間だった。
レインの中で、ずっと張りつめていたものが――。
ふっと、ほどけた。
「……」
ぽろり。
レインの目から、涙がこぼれる。
「よかった……」
もう一粒。
「本当に、よかった……」
レインは涙をぬぐう。
あの日の傷ついた田んぼ――。
自分のせいで、大切な稲を傷つけてしまった。
だから――。
もう一度、ここに来るのが怖かった。
田んぼを見るのが怖かった。
でも、稲は生きていた――。
そして今、こうして黄金色の穂を実らせている。
その時――。
窓の外の田んぼを眺めながら、ナイトが静かに呟く。
「神ナリ……イナズマとも言うが……」
そして、黄金色の稲穂へ目を向ける。
「稲の妻、だよな」
アイリスも気づいたように呟く。
「……あ、もしかして……神ナリ一閃が良かったのかな?」
コシヒコが大きく笑った。
「はははっ!」
そして――。
レインへ向かって声をかける。
「レイン!」
「はい?」
コシヒコは満面の笑みで言った。
「来年も田植え前に雷を落としに来てくれ!」
「えっ?」
レインが目を丸くする。
コシヒコは笑いながら続けた。
「わりと本気で言ってるぞ!」
「冗談じゃなくて……?」
その言葉に――。
村中が笑い声に包まれた。
「はははは!」
「カミナリ様だ!」
「来年も頼むぞー!」
レインも、涙をぬぐいながら笑った。
そして――。
「はい!」
元気よく返事をする。
「また、来年も必ず来ます!」
サワサワ……。
黄金色の稲穂は、秋風に揺れながら美しく輝いていた。
笑顔が戻っていた……。
コメライス村にも、レインの心にも――。
読んでくれてありがとうございます!
この作品は不定期で投稿してます。
※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




