第127回「各自できる事」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
防衛戦が始まった――。
黒い群れが、コメライス村へ迫ってくる。
それを迎え撃つように――。
村人たちが一斉に動き出した。
「火魔法!」
「水魔法!」
「風魔法!」
次々と魔法が飛び交う。
風の防壁が黒い群れの進路を逸らす。その隙を狙って、火魔法が放たれる。田んぼには水が撒かれ、火の影響を抑えていく。
昨日の勇者たちの戦いを見ていたことが、大きかった。村人たちは、勇者たちがどのように田んぼを守っていたのかを覚えていた。
そして今――。
自分たちの戦いに、その方法を取り入れている。
コシヒコが声を張り上げる。
「絶対に守るぞっ!」
「おおー!」
村人たちの声が響く。
魔法通信を通して――。
その様子は世界へ届けられる。
温かい応援が流れていく。
『頑張ってくれ!』
『勇者たちや騎士団だって同じ人間!』
『村人だって出来るに決まってる!』
『コメライス村、頑張れ!』
そんな中――。
レインも田んぼの中を走り回っていた。
「そーれっ!」
大きくジャンプする。
黒い群れへ飛び込むと、アミを振った。
バサッ!
「捕まえたっ!」
アミの中で、黒いバッタたちが暴れる。
レインは、その中の一匹を確認した。
そして――。
「こいつはバッタじゃない!」
レインは目を見開く。
「魔王だっ!」
プチッ!
「このっ!」
プチッ!
「このっ!」
プチッ!
次々と踏み潰していく。
しかし、数が多い――。
いくら倒しても、次々と飛んでくる。
「あぁー!」
レインが叫ぶ。
「踏み潰す時間がもったいないっ!」
その時だった――。
タタタッ!
小さな足音が聞こえてくる。
「レイン姉ちゃん!」
レインが振り返った。
「ん?」
そこへ走ってきたのは、ヒナタだった。
「新しいアミっ!」
ヒナタは、アミをレインへ差し出す。
そして――。
ヒナタが足元のバッタを踏みつぶす。
プチッ!
「ヒナタちゃん!?」
レインが驚く。
そこへ、ヒカリやコマチもやってきた。
ヒカリがアミを見ながら言う。
「バッタなら、私たちでも倒せるわね」
コマチはヒナタを見る。
「ママがやるから、ヒナタは戻って!」
「えぇー! ヒナタも田んぼ守るー!」
そのやり取りを、コシヒコは少し離れたところから見ていた。
そして、にやりと笑う――。
「おい男衆!」
村人たちが振り返る。
コシヒコが声を張った。
「負けてらんねーなぁ!」
「おおー!」
男衆も一斉に動き出す。
レインはヒナタから新しいアミを受け取った。
「よーし!」
すぐさま、黒い群れへ向かって走る。
「はいっ!」
バサッ!
レインはアミでバッタを捕まえる……。
そして、そのアミをヒカリに渡す……。
「任せて!」
ヒカリがアミを受け取る。
「レインさん! 次っ!」
レインは次のアミを、コマチから受け取る。
また、レインはバッタを捕まえに走る……。
「よーし、次っ!」
走る……捕まえる……渡す。
新しいアミを受け取り……また走る……。
いつの間にか――。
完全な分業制になっていた。
誰もが、自分にできることをしている。
コシヒコが叫ぶ。
「それでいい!」
村人たちが振り返る。
「皆、自分にできることをやるんだ!」
レインも大きく頷いた。
「うん!」
そして――。
アミを握りしめながら笑顔で叫ぶ。
「これが、コメライス村の戦いだっ!」
青田を守るため――。
村人たちは、それぞれの力を合わせて戦っていた。
読んでくれてありがとうございます!
この作品は不定期で投稿してます。
※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




