第126回「防衛戦」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
おそらく――。
蝗害の魔王は、人を襲わない。
もちろん、絶対とは言い切れない。
しかし、昨日の勇者たちとの戦いを見る限り、魔王が狙っているのは人ではなく――。
田んぼの稲だった。
コシヒコは村人たちへ指示を出す。
「女子供は屋内避難!」
そして、男衆へ向き直る。
「男衆は全員で守るぞっ!」
「おおー!」
村人たちは、それぞれの持ち場へ向かっていく。
風魔法を使う者。
火魔法を使う者。
水魔法を使う者。
田んぼを守るため、村人たちは自分にできることを始めていた。
その様子を見ながら、ナイトがレインへ声をかける。
「レインは戦う側だからな?」
「分かってるよっ!」
アイリスがすかさず口を挟む。
「バカ言ってないで準備して!」
「はーい!」
レインは元気よく返事をすると、近くに置いてあったアミを手に取った。
そして――。
アミを掲げる。
「よしっ! あたしはアミで回収!」
アイリスが一瞬、固まる。
「……」
レインは続ける。
「そして、踏み潰す作戦!」
「それ、作戦って言うの?」
アイリスが呆れたように言う。
レインは神ナリの剣を握りながら言う。
「最後、魔王が人型になったら、神ナリ一閃!」
コシヒコも頷いた。
「あぁ、それでいい!」
「よしっ!」
レインは気合いを入れる。
一方――。
アイリスは村人たちのところへ向かった。
そして、杖を掲げる。
「身体強化!」
淡い光が村人たちを包んでいく。
続けて――。
「視覚強化!」
さらに魔法を重ねる。
「筋力強化!」
村人たちの身体能力が、少しずつ高まっていく。
そして――。
「跳躍強化!」
「スタミナ強化!」
次々と強化魔法がかけられていく。
村人たちが、自分の身体を確認する。
「おおっ!」
「身体が軽い!」
「これならいけるぞ!」
アイリスは笑顔で村人たちを見る。
そして、力強く言った。
「皆さん! 夜まで守りますよっ!」
コシヒコが、その言葉を聞いて――。
ふっと笑った。
「そうだな! とりあえず夜まで頑張るかっ!」
村人たちも声をあげる。
「おおー!」
張り詰めていた空気が、少しだけ和らいだ。
村人たちから笑い声が起こる。
レインも思わず笑った。
「ふふっ!」
アイリスも微笑む。
「こういうところ、コシヒコさんらしいわね」
ナイトは女神のカメラを構えた。
「いい顔してるな」
カメラの向こうに映るのは――。
田んぼを背にして立つコシヒコ。
その顔には、覚悟がある。
コシヒコが、村人たちへ向かって声を上げる。
「さぁ! 防衛戦だっ!」
ナイトは、その決意に満ちた顔を撮り続ける。
そして――。
バサササササッ!
遠くから、黒い群れが迫ってきた。
読んでくれてありがとうございます!
この作品は不定期で投稿してます。
※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




