第125回「コシヒコの指示」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
ナイトが女神のカメラを向ける――。
迫り来る黒い群れ……空を埋め尽くす大量の黒いバッタ。
「なんて数だ……!」
前日の勇者たちとの戦いで、その数は半分以下にまで減っている。
それでも――。
コメライス村には、あの群れを迎え撃つだけの戦力はない。
レインは、迫ってくる黒い空を見つめた。
「どうしよう……!」
その時だった。
村の方から、次々と人が集まってくる。
先頭に立っていたのは、コシヒコだった。
コシヒコは、黒い群れを見上げる。
そして、力強く言った。
「俺たちの田んぼだ」
コシヒコは、村人たちを見る。
「俺たちが守るしかない!」
その言葉に――。
村人たちが一斉に声を上げた。
「そうだ!」
「アサザ村は守ったんだ!」
「俺たちだって守れる!」
それぞれの声が重なっていく。
レインは、村人たちの顔を見つめた。
そして、再び黒い群れへ視線を戻す。
「このバッタの状況では……」
レインは、神ナリの剣へ目を向ける。
「あたしの神ナリ一閃は、多分、無力です」
コシヒコも頷いた。
「そうだな」
空を覆うほどの数。
一匹を倒しても、次から次へと押し寄せてくる。
「数が多すぎる……」
レインは唇を噛みながら言う。
しかし――。
何かを思いついたように顔を上げる。
「それでも! バッタが集まって人型になったら、勝てる可能性もあります!」
コシヒコがレインを見る。
「なるほどな」
アイリスも、昨日の戦いを思い出していた。
「昨日の勇者たちの戦いでは、風魔法で田んぼへの侵入を防ぎ、火魔法で焼き払っていました」
コシヒコは、青々とした田んぼを見る。
「……」
しばらく考えたあと――。
ふふっと笑った。
「田んぼの上で火魔法は困るが――」
そして、覚悟を決める。
「仕方ないか」
コシヒコは、村人たちへ向き直った。
「皆、聞いてくれ!」
村人たちが一斉にコシヒコを見る。
「風魔法が使えるやつ!」
何人かの村人が手を上げる。
コシヒコが指示を出す。
「風の防壁で、バッタの侵入を防いでくれ!」
「分かった!」
続けて、別の村人たちを見る。
「火魔法が使えるやつは、青田から離れてな!」
「田んぼに直接火が入らないようにするんだ!」
「了解!」
そして――。
「水魔法が使えるやつ!」
今度は別の村人たちが前へ出る。
「青田に水をかけて、火のダメージを軽減する!」
「任せろ!」
次々と指示が飛んでいく。
村人たちも、それぞれ自分にできることを確認していった。
風……火……水……。
自分たちが持っている魔法。
それぞれの力を組み合わせて、田んぼを守ろうとしている。
ナイトは、その光景を女神のカメラで映し続けていた。
「……」
そして、ぽつりと呟く。
「村人全員が、戦う準備をしてる」
アイリスが静かに答えた。
「自分たちの田んぼだものね」
レインは、青々とした田んぼを見る。
田植えをした……一緒に米作りをした……。
笑いながら泥だらけになった……。
そして――。
紅貝の魔王からも守った。
その田んぼが、また狙われている。
レインは、ぎゅっと拳を握った。
「……絶対に守る」
青田へ視線を向ける。
「あたしたちの田んぼ、絶対に守るっ!」
その声は、皆に響いた。
遠くから聴こえてくる音――。
バサササササッ!
黒い群れが、迫っていた。
読んでくれてありがとうございます!
この作品は不定期で投稿してます。
※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




