第123回「朝のひととき」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
コメライス村の朝――。
朝の風が、青々とした田んぼを優しく揺らしている。レインたちは、いつものように朝の配信を始めていた。
魔法通信が繋がる――。
レインが、笑顔でカメラを見る。
「皆さん、おはようございます!」
アイリスも隣で頭を下げた。
「おはようございます!」
レインは、いつもの調子で続ける。
「今日の天気予報のお時間です!」
カルディア王国各地の天気情報を表示する。
「今日は大気が不安定ですね」
アイリスが尋ねる。
「ゲリラ豪雨もありますかね?」
「可能性は大きいです」
レインは頷いた。
「お出かけの際は、傘を持っていた方が良いでしょう」
コメント欄がすぐに反応する。
『了解!』
『今日は傘持ってく!』
『助かる!』
レインは満足そうに頷いた。
「はいっ!」
そして――。
少しだけ表情を引き締める。
「続いて、魔王予報です」
しばらくして、静かに告げた。
「現在、新たな魔王の降臨はないようです」
アイリスが頷く。
「魔王23号……」
「蝗害の魔王に集中ですね」
「そうですね」
現在、世界で警戒すべき魔王は一体だけ。
魔王23号、蝗害の魔王――。
無数の黒いバッタへと姿を変え、田んぼを狙う魔王。
レインは、画面の向こうへ向かって笑顔を見せた。
「勇者さまの勝利をお祈りします!」
コメント欄が一気に流れる。
『勇者頼む!』
『アサザ村を守って!』
『魔王って、米ばっか狙うよな!』
レインはコメントを見て、少し首を傾げた。
「本当ですねぇ」
そして――。
ふと、思いついたように言う。
「お米、大好きなのかな?」
アイリスが苦笑する。
「魔王が食べるのは困るけどね」
レインの表情が変わる。
「それは困りますっ!」
思わず力の入った声が出る。
アイリスが笑い、つられてレインも笑う。
その二人の背後では――。
青田が、朝日に照らされて輝いていた。
風に揺れる稲、朝の光。穏やかな村の景色。
今日もまた――。
コメライス村の一日が始まる。
読んでくれてありがとうございます!
この作品は不定期で投稿してます。
※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




