第121回「数が多すぎる」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
勇者アルスたちと王国騎士団――。
合同チームによる、蝗害の魔王との戦いは続いていた。
「はぁっ!」――ズバッ!
アルスが聖剣を振り抜く。
黒いバッタの群れが、まとめて吹き飛ばされる。
しかし――。
「まだ来る!」
ミネルバが叫ぶ。
ゴォォッ!
杖から放たれた風が吹き荒れ、迫り来るバッタをまとめて押し返す。
「結界、維持します!」
カタリナが祈りを続ける。
光の結界が、アサザ村の田んぼを覆っていた。
結界にぶつかったバッタが、次々と弾き飛ばされていく。
その周囲では、騎士たちも必死に戦っていた。
剣を振る……槍を突く……魔法を放つ……。
次々と黒いバッタを撃退していく。
だが――。
バササササッ!
また新たな群れが飛んできた。
「……」
アルスが空を見上げる。
そして、思わず呟いた。
「キリがないな!」
倒しても……倒しても……。
次から次へと、黒いバッタが押し寄せてくる。
ミネルバも荒い息を吐いていた。
「満身創痍ね……」
カタリナも周囲を見渡す。
「皆、消耗しています」
それでも、騎士たちは剣を下ろさない。
「まだ戦えます!」
別の騎士が、必死に叫ぶ。
「ですが、この数は……!」
「分かってる!」
アルスが聖剣を握り直す。
疲労で腕は重い。
「それでも、ここを通すわけにはいかない!」
再び、黒い群れが押し寄せてくる。
ズバッ!
アルスの聖剣が薙ぎ払う。
ゴォォッ!
ミネルバの風が吹き荒れる。
バシュッ!
騎士たちの魔法が飛び交う。
しかし――。
守るのが精一杯だった。
魔王そのものが、圧倒的な力で攻撃しているわけではない。
一匹一匹の黒いバッタは、決して強くない。
それでも、数が尋常ではない……。
倒しても、減ったように見えない……。
アルスが、空を覆う黒い群れを見つめる。
「これが……蝗害の魔王か」
ミネルバが息を整えながら答える。
「強さではないのね」
カタリナも静かに頷いた。
「数そのものが、脅威……」
田んぼを守る……村を守る……。
そのために――。
勇者も……賢者も……聖女も……。
そして、王国騎士団も……。
皆、全力で戦っている。
それでも、黒い群れは空を覆い続けていた。
読んでくれてありがとうございます!
この作品は不定期で投稿してます。
※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




