第119回「間にあった」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
勇者一行は――。
昼夜を問わず、アサザ村を目指していた。
二頭の馬が、街道を駆け抜けていく。
蹄の音が、夜の静寂を切り裂く。
「急ぐぞ!」
アルスが前を見据えたまま叫ぶ。
ミネルバも手綱を握り直した。
「ええ!」
カタリナも頷く。
「はい!」
誰もが疲れていた。
長い移動……ほとんど眠る時間もない。
それでも――。
誰一人として、足を止めなかった。
魔王23号が村へ到着する前に。
少しでも早く、アサザ村へたどり着くために。
そして――。
夜が明ける前。
街道の先に、アサザ村の姿が見えてきた。
「……!」
アルスが目を細める。
そして、小さく息を吐いた。
「間にあったな」
ミネルバも村を確認する。
「ええ」
カタリナが空を見上げた。
「バッタは、夜間にはほとんど移動しなかったようですね」
「そのおかげね」
ミネルバが頷く。
3人は馬を止める。
アルスは聖剣を握り直した。
ミネルバが杖を構える。
カタリナも静かに頷いた。
3人の視線の先――。
まだ静かなアサザ村がある。
空が、少しずつ明るくなっていく。
東の空が、白み始める。
そして――。
太陽が顔を出した。
朝の光が、大地を照らす。
その光と同時に――。
空の彼方から、黒い影が現れた。
バサササササッ!
無数の黒いバッタが、空を覆っていく。
朝日を遮るほどの大群。
アサザ村へ向かって、一斉に飛んでくる。
アルスが聖剣を構えた。
「来たぞ!」
ミネルバも杖を掲げる。
「構えて!」
カタリナが両手を広げた。
「結界、展開します!」
淡い光が、村の前方へ広がっていく。
アルスの聖剣が、朝日に照らされて輝く。
その光を見つめながら――。
勇者と、蝗害の魔王。
二度目の戦いが始まった。
読んでくれてありがとうございます!
この作品は不定期で投稿してます。
※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




