第114回「蝗害」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
魔王23号が、勇者アルスによって討伐された。
そんな発表が王城から届いてから、数日が経っていた。
スイゴウ村――。
村には、少しずつ普段の生活が戻り始めていた。
青々とした田んぼ……風に揺れる稲……。
農作業をする村人たちの姿も、少しずつ戻っている。
魔王は討伐された。
もう、大丈夫……誰もが、そう思っていた。
しかし、ある日の朝――。
「……ん?」
田んぼへ向かっていた村人が、足を止めた。
何か音が聞こえる。
バタバタバタバタ――。
「なんだ、この音?」
空を見上げる……そして――。
「……え?」
村人の顔から、血の気が引いた。
空が――黒い。
無数の黒い影が、空を覆っていた。
それは、雲ではない。
鳥でもない。
無数のバッタだった。
「バッタ!?」
次の瞬間――。
バッタの群れが、一斉に田んぼへ降りていく。
青々とした稲へ、次々とバッタが群がる。
バリバリバリ――。
葉が食べられていく。
茎が食い荒らされていく。
「やめろー!」
村人たちが走り出す。
手を振り回し、声を上げ、必死にバッタを追い払おうとする。
しかし――。
数が多すぎた。
「なんだ、この数!」
一匹、二匹どころではない。
田んぼ一面を埋め尽くすほどの大群だった。
追い払っても、次から次へと飛んでくる。
バタバタバタバタ――。
そして。
バリバリバリ――。
稲が、みるみるうちに食い尽くされていく。
村人たちは、ただ見ていることしかできなかった。やがて、群れが去ったあと、そこに残っていたのは無残に荒れた田んぼだった。
「……」
「こんな……」
村人たちは、言葉を失った。
ついさっきまで、一面に広がっていた青田。
それが、ほとんど消えている。
毎日世話をしてきた青田は、一瞬にして奪われてしまった。
これは『蝗害』――。
大量発生したバッタによって、農作物が食い尽くされる災害だった。
読んでくれてありがとうございます!
この作品は不定期で投稿してます。
※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




